マレーシア、シンガポールと国ごとの華僑・華人に触れた三カ国目はインドネシア共和国です。
世界4番目の人口、Facebookなどソーシャルメディア活用の多さ、そして親日国と新マーケットとしてますます注目されています。
▼インドネシアの概要
インドネシアは赤道付近に17,000以上の島々が列なる世界最大の島嶼国。人口は約2億3,800万人(世界第4位)で約490の民族が暮らしており、国土面積は日本の約5倍、東西の長さ5,000km以上は米国
の東海岸から西海岸までの長さに匹敵する。首都はジャワ島のジャカルタ(人口2,224万人で世界第4位)。
民族構成は、ジャワ人、スンダ人、バタッ人など大多数がマレー系住民。イスラム教は87%と最も多く、プロテスタント6%、カトリック4%、ヒンドゥー教約1%、仏教約1%。
インドネシアは「多様性の中の統一Bhinneka Tunggal Ika」というスローガンを掲げており、国是としてのパンチャシラ(サンスクリット語で「5つの徳の実践」の意)が守られている。
- 唯一神への信仰(イスラム以外でもよいが無宗教ダメ)
- 人道主義
- インドネシアの統一
- 民主主義
- インドネシア全国民への社会正義。
インドネシアには2層の地方政府が存在し、第一レベルの地方政府が州。
その下位に第二レベルの地方政府である県と市が置かれている。村もあるが行政権は持たず、習慣的なもの。
経済は基本的に農業国であり、2011年のインドネシアのGDPは8456億ドルであり、世界第16位であるものの、一人当たりのGDPは3508ドルであり、世界平均の40%に満たない水準。2011年にアジア開発銀行が公表した資料によると、1日2ドル未満で暮らす貧困層は1億1743万人と推定されており、国民のおよそ半数を占めている。
工業では軽工業、食品工業、織物、石油精製が盛ん。コプラパーム油のほか、化学繊維、パルプ、窒素肥料などの工業が確立している。 パナソニック、オムロン、ブリヂストンをはじめとした日系企業が現地に子会社・あるいは合弁などの形態で、多数進出している。
▼インドネシアの歴史
インドと中国をつなぐ中継貿易の拠点として栄えたインドネシア在住のマレー系人民は、ポルトガル・オランダ・イギリス・日本の支配を通して民族意識を強くしていった。日本は、オランダに植民地化されていたインドネシアの民族自治を承認し、国旗・国歌・そして軍事訓練を施し独立を後押しした。第二次世界大戦後のオランダとの独立戦争でも、日本人約2,000名とともに戦い、1949年、最終的に独立を勝ち取ることとなる。
その後、マレーシアに侵攻したり世界的な非難をあび国際連盟を脱退、中国と蜜月を得るが、政権の移り変わりで西側諸国とも関係を保ち、共産党は非合法とされているものの中国ロシア北朝鮮とも関係を保ち、政軍ともに自国主義を貫いている。
▼インドネシアの華僑・華人
人口の76.5%を占めるムスリムの中で、中国系は3.5%・740万人と最大の少数民族。
チャイナタウンの若者たち |
同国は、海外華人の最大の居住地でもある。華人の大部分は都市部に居住し、ジャカルタ、スラバヤ、バンドン、ボゴール、メダン、パレンバンなどの大都市にはすべてチャイナタウンがある。インドネシアはイスラム国家であるが、華人のほとんどが仏教、道教、儒教を信仰している。
華人はインドネシアの富の8割を独占していると言われる。
華人1人でインドネシア32人分の稼ぎであり、しかも従業員がインドネシア人であることも多く、経済的な格差・プルブミ(現地人)としての不満が存在しており、1998年には大規模な中国人排訴運動が起こった。
インドネシアの華僑・華人の間では数十年おきに虐殺されたり暴動されたり大きな事件が起こっており、インドネシア生まれ・インドネシア育ちの華人にとっても一族にとっても、恐ろしい記憶と未来への恐怖となっている。
コタ・チャイナタウン |
中国人のジャワへの移民は、西暦924年(唐・同光6年)に始まり明代、鄭和が前後7回におよぶ「下西洋(大航海)」をおこなった際(1405-1433)、スマトラを7回通過し、ジャワには6回上陸したため中国からの大量移民をひきつけた。明末、インドネシアはオランダの植民地となったが、中国からの労働者や清の統治に反対する人々が続々と移住し、中国人の数が激増した。アヘン戦争(1840-1842)後、清政府は海外渡航の門戸を大きく開き、再度インドネシアへの移民ブームが起こった。1970年以降は、台湾、中国、東南アジアの専門家や資本家が続々とインドネシアへ投資するようになった。
インドネシア華人はインドネシア政府の「政経不一致」によって、華人は「経済的な優勢」を持ちながら、一貫して政治から遠ざけられ、「政治的な劣勢」に立たされてきた。華人の処世術とは「政治を避けて経済に関わる」というもの。「華人がいなければインドネシアの経済発展は難しい」と言うことができる。
▼インドネシアにおける華人の経済規模
① 約170人の大企業家
② 約5,000人の中企業家
③ 約25万人の小売業およびレストラン、商店の経営者、
④ それ以外の農民、漁民、工場労働者、会社等の職員
ジャカルタのメインストリート"Jalan Tamrin" |
しかし、インドネシアの華人は、当初から政治において当然あるべき公平な待遇を得られず、圧迫や排斥、差別を受けてきた。華人と土着民(プリブミpribumi)との確執は一貫して存在し、つねに「反華」や「排華」の暴動が発生してきた。よって、インドネシア華人の発展の過程は、血と涙にまみれた歴史であった。
インドネシアと関わる上で、マレー人の経済的・面子的不満と、華人の経済的立場と恐れを理解することが、すべての始まりだといえる。
参考文献:インドネシア華人とその経済的地位 華僑研究センター教授 陳 燕南
【 シンガポールで、自治体・企業のPRオフィス機能代行します 】
東南アジア市場のPRオフィス機能を代行、ASEANの消費者と日本のビジネスマッチングを提供しています。 観光インバウンドに、企業の現地営業サポートに。詳しくは
http://asiasns.blogspot.jp/2014/02/prasean.html
ご相談は、電話 03-6205-5619 またはメール info@asiaclick.jp までお気軽にどうぞ。
0 件のコメント:
コメントを投稿