2013年6月9日日曜日

マレーシア人イスラム教徒のハラルに関する本音

当記事の3行まとめ

  1. ハラル(Halal)はイスラム法上で許されたものを指し、食事はその中心的な対象である
  2. 豚肉やお酒に加え、加工・調理の作法にもルールがあり、ムスリムにとって食事は信仰実践そのもの
  3. 日本ではハラルレストランやハラル食材店、オンライン購入サービスが整いつつあるが、特定地域に集中しており、まだ十分とは言えない

アジアクリックのファリスです。本記事では、マレーシア人ムスリムの立場から、日本でハラルがどのように受け止められているか、そして日本観光におけるハラルの現実について整理します。

① ハラルとは何か——アッラーが定めた「許されたもの」

ハラル(Halal)とは、イスラム法(シャリーア)で許された項目を指すアラビア語です。主にイスラム法上で食べられるもの、つまり食品を表す文脈で使われます。逆に、食べられないものは「ハラム(Haram)」と呼ばれます。

では、ハラルとハラムをイスラム教では誰が決めたのでしょうか。すべてのイスラム法を定めたのはアッラー(神)であると、イスラム教では信じられています。

たとえ話で考えてみてください。人間が知能ロボットを作ったとしたら、作った人間が、そのロボットの仕組みを最初から最も詳しく理解しているからこそ、ロボットを作ることができます。そのロボットに何ができて何ができないかを、最もよく分かっているのは作った人間です。同じように、イスラム教では、アッラーが人間を創ったと信じており、人間を作ったアッラーこそが、人間自身よりも人間のことを深く理解していると考えます。だからこそ、何を食べるべきで、何を避けるべきかをアッラーが定めた、という理解になります。

② ハラムの代表例——豚肉、イスラム法に則って屠られていない肉、酒

具体的にハラムとなるのは、次のようなものです。

  • 豚肉
  • イスラム法に則って屠殺されていない牛肉・鶏肉
  • お酒

ムスリムにとって、これらを口にしないことは単なる食習慣ではなく、信仰の実践そのものです。

③ 日本でムスリム観光客が直面する現実

近年、仕事・旅行・留学などで日本に滞在するムスリムが増えています。彼らは食事の面でどう過ごしているのか、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。日本観光をハラルの視点から見ることは、訪日インバウンドを設計する上でも重要な視点になります。

現在、日本でも「ハラル」という言葉に触れる機会が増え、ハラル対応の食材は以前より手に入りやすくなってきました。ハラル食材を扱う実店舗が増え、インターネットでハラル対応の牛肉や鶏肉を購入できる環境も整いつつあります。

④ ハラル対応はまだ特定地域に集中している

観光客が多い場所、特に東京では、ハラル対応のレストランやホテルも徐々に増えてきました。これによって、ムスリム観光客がハラル食材を入手することは以前よりずっと容易になっています。

しかし、ハラル対応のサービスが提供される場所は特定の地域に集中しており、全体としてはまだ十分な数とは言えません。観光中に突然空腹を感じても、近くにハラル対応の食事がなく、すぐには食べられないという状況は、依然として多く発生しています。

これからは、ハラルの考え方そのものを多くの方に知っていただき、日本国内にハラル食材やハラル対応のサービスを提供する場所がさらに増えていくことを願っています。それは、ムスリム観光客の訪日体験の質を高めるだけでなく、世界の22%・15億人規模のイスラム市場との接点を広げることにもつながります。


この記事の著者

ファリス(アジアクリック・ハラル/マレーシア担当)
マレーシア出身。イスラム教徒の視点から、ハラル文化・訪日ムスリム観光・現地市場に関する一次情報を発信。アジアクリック(代表:高橋学)所属。

監修

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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