ミャンマー人の特徴10——「皆いい人」という思い込みに落とし穴
当記事の3行まとめ
- ミャンマーは135以上の民族で構成される多民族国家であり、敬虔な仏教徒を中心に温和で英語に堪能、識字率も高い
- 親日国であり外国人にもオープンだが、ビジネスとなると話は別で「皆いい人」という思い込みは危険
- 市場開放と経済成長が続く一方、宗教対立・国際関係・バブル・賄賂・自然災害などのカントリーリスクも認識すべき
前提:135以上の民族で構成されるミャンマー
ミャンマー(ビルマ)は、ビルマ系を中心としつつ、135以上の民族が暮らす多民族国家です。日本国内の地域差と同様、個人によって性格は千差万別ですが、ミャンマー人に共通して見られる特徴を10項目で整理します。
① 敬虔な仏教徒である
仏教信仰の深さが、ミャンマーの社会的な安全と秩序を支えています。1992年頃の軍事政権下で学校が頻繁に閉鎖された時期には、学生たちはお寺で勉強を続けていました。今も学校に通うお金がない子どもたちは、寺子屋(バカチャン・ポンジーチャウン)で学んでいます。街・村と仏教寺院との関わりは、ミャンマー社会の基盤と言えるほど深いものです。
② 温和で周囲に配慮をする
ミャンマー人は規則やルールを守り、相手を立てて物事を円滑に進めようとする国民性を持っています。シャイな性格の人も多く、自己主張よりも調和を優先する傾向があります。
③ 英語が得意で、日本語の習得スピードも早い
ヤンゴンでは英語がかなり通じます。背景には、小学校1年生から英語学習が始まる教育制度があります。また、文法構造が日本語と似ていることから、日本語は人気の学習言語です。ヤンゴン市内には100を超える日本語学校が存在しています。
④ 手先が器用で、細かな作業が比較的得意
ミャンマーで生活すると、書類の多さに驚かされます。外国人でも銀行口座が開設できるので、時間があれば銀行でミャンマー人の事務作業を見てみてください。多岐にわたる細かい記入欄を、忍耐強く正確に複写していく姿が見られます。手先の器用さと忍耐力は、日本企業がミャンマー人材を活用する際の強みになります。
⑤ 親日国
アウンサンスーチー氏の父であるアウンサン将軍は、第二次世界大戦中に日本の支援を受け、ミャンマーをまとめてイギリス統治からの独立運動を主導した英雄として記憶されています。この歴史的経緯から、ヤンゴンでも日本人だと分かると歓迎の雰囲気で迎えてくれることが多くあります。
⑥ 識字率90%以上
ミャンマーでは1974年から教育法が施行され、基礎教育は5-4-2の11年制で構築されています。統一試験により大学進学先のレベルが決まる仕組みです。ヤンゴンを歩いていると、新聞を読んでいる市民の姿を頻繁に目にします。情報リテラシーの基盤としての識字率の高さは、ミャンマー市場の特徴の一つです。
⑦ まとまるのが苦手
個人としては穏やかなミャンマー人も、チームとして組織的にまとまるのは苦手と言われています。これは弱点である一方、学校などでのいじめが少ない理由としても語られます。組織運営の現場では、この特性を踏まえたチームビルディングが必要になります。
⑧ おしゃべり大好き
男女問わず、集まっておしゃべりを楽しむ文化があります。ミャンマー人の楽しみは「eat out, singing, and chatting(外食、歌、おしゃべり)」と表現されることが多く、読むのも書くのも話すのも好きな国民性が見て取れます。
⑨ オープンマインド
外国人を歓迎する気質があり、人を紹介してくれたり、家に招待してくれたりすることも珍しくありません。Facebook上でも、自分の居場所をチェックインで知らせたり、自撮り写真を頻繁に投稿したりと、開放的な情報発信が日常的です。市場としても、外国資本が入りやすい環境と言えます。
⑩ 「ミャンマー人は皆いい人」という思い込みに注意
ヤンゴンはアジア地域の中でも驚くほど安全な街です。大金を街中で広げていたり、財布を落としても戻ってきたりと、モラルの高さは特筆に値します。
ただし、大金が絡むビジネスとなると話は別です。どの国にも悪意を持つ人は存在し、日本人の善意につけ込もうとするケースもあります。「ミャンマー人は皆いい人」という思い込みは、ビジネス上の判断を曇らせる危険があります。安全な街と安全な取引は別問題として、しっかり区別する必要があります。
ミャンマー市場のカントリーリスク
市場開放と経済成長が進むミャンマーですが、進出にあたって認識しておくべきカントリーリスクがあります。
- 宗教間(仏教とイスラム)の対立
- 国際社会との関係(経済制裁の動向)
- 不動産価格の急騰とバブル懸念
- 政府の方針が頻繁に変更される不確実性
- 賄賂の問題
- 中国・韓国企業との競合
- サイクロン(2008年のサイクロン・ナルギスのような大規模災害)と地震の可能性
これらはミャンマーに限った話ではありませんが、しっかりした弁護士のサポートを受け、契約と記録を石橋を叩くように残していけば、リスクを大幅に減らすことができます。
ミャンマーへのアクセス
ヤンゴンへは成田からANAで直行便が運航されています。バンコク経由ならAirAsiaで片道数千円から渡航可能です。ホテルも手頃な価格帯から選べる選択肢が広がっています。
市場開放期のミャンマーは、政治・経済・法律・習慣・民族問題など、多角的に現地で確かめる価値のある国です。机上の情報だけではなく、ご自身の目で確かめてみることをお勧めします。
この記事の著者
高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。
協力
ヤンゴン・後藤修身氏
関連リンク
公式サイト:https://asiaclick.jp
note:https://note.com/aseanmana
お問い合わせ:info@asiaclick.jp
参考資料・関連情報
- 日本貿易振興機構(JETRO)ミャンマー国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/mm/
- 在ミャンマー日本国大使館:https://www.mm.emb-japan.go.jp/
- ミャンマーホテル観光省(Ministry of Hotels and Tourism):https://tourism.gov.mm/
- パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/
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