2013年9月21日土曜日

LINEじゃない!じゃあ何使ってるの?@東南アジア - タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアの携帯チャットアプリ事情

当記事の3行まとめ

  1. 東南アジア(タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア)では、日本のような「LINE一強」の構造は成立していない
  2. WhatsApp・BBM・WeChat・カカオトークなど、複数のチャットアプリが先行して定着しているため、LINEは苦戦している
  3. チャット以外でも、Instagram・Pinterest・Pathといった画像系・少人数限定型SNSがそれぞれ独自の支持層を持つ

日本では圧倒的な強さを誇るLINEは、タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアでも一定の人気を持つアプリの一つです。しかし、ASEAN諸国でLINEが大きな壁にぶつかっている理由はシンプルで、現地にはすでに先行して定着しているチャットアプリ・SNSが複数存在しているからです。

本記事では、東南アジアのチャットアプリ・SNS市場の構造を、5つの主要サービスに分けて整理します。

① アメリカ発のチャット代名詞「WhatsApp」

WhatsAppはインストールするだけでチャットが使える設計で、LINEと同様に既読状態の確認も可能です。非常に軽快なアプリでチャットに特化しており、ゲームやSNS機能は持っていませんが、写真・動画・地図・音楽の送受信に対応しています。シンプルさと安定性から、東南アジア全域で長く支持され続けているサービスです。

② インドネシアでは電話番号より重要「BBM」

BBM(BlackBerry Messenger)は、BlackBerry端末同士で無料チャットができるサービスです。インドネシアでは初対面の挨拶が「BBM PIN教えて」と言われるほど、ビジネスにも生活にも深く根付いています。

ただし、近年はBlackBerryよりも大画面のiPhoneやAndroid端末が主流となり、BBMの存在感は徐々に縮小しつつあります。それでも、インドネシアにおける「最初の連絡手段」としての慣習は依然として残っています。

③ LINE最大のライバル、中国系・全方位型SNSチャット「WeChat」

WeChatはLINEができることのほぼすべてに対応した上で、位置情報を使って周囲のユーザーとつながれるオープンな機能を備えています。世界第5位のメッセージングアプリとして、世界の4人に1人以上がインストールしているとされます。

LINEはタイを中心に、キャラクター・スタンプの可愛さや、仲のいい友人・家族が使っているという理由で利用が広がっていますが、WeChatのような既存サービスがすでに市場を抑えているため、日本のような主導権は握れていない状況です。

④ 韓国系チャット「カカオトーク」

カカオトークもLINE・WeChatとほぼ同じSNS機能付きチャットですが、現状では先行サービスに押されています。ベトナムやタイを中心とした、韓国コンテンツへの関心が強い一部ユーザー層に支持されている状況です。

⑤ 写真系・少人数限定SNSも独自の地位を確立

チャット以外で東南アジアで人気のソーシャルメディアとして、次の3つが挙げられます。

  • Instagram:ASEAN全域で、画像加工と投稿が楽しめる写真系SNSとして定着
  • Pinterest:マレーシアを中心とした一部の女性層で、買い物アルバム的な使い方として人気
  • Path:インドネシアではFacebook疲れの反動で、友人を150人までに限定できるプライベートSNSとして支持を集める

また、Facebook連携の落ち物パズル「Candy Crush Saga」のようなゲームも、SNSとセットで生活の一部に組み込まれています。

まとめ

東南アジア市場でチャット・SNS戦略を組む際には、「LINEがあれば大丈夫」という日本の常識は通用しません。各国・各層ごとに先行定着したアプリの構造を理解した上で、現地の主流ツールに合わせた発信を組むことが、ASEAN市場で消費者と接続する最短経路です。


この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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