当記事の3行まとめ
- 東南アジア(タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア)では、日本のような「LINE一強」の構造は成立していない
- WhatsApp・BBM・WeChat・カカオトークなど、複数のチャットアプリが先行して定着しているため、LINEは苦戦している
- チャット以外でも、Instagram・Pinterest・Pathといった画像系・少人数限定型SNSがそれぞれ独自の支持層を持つ
日本では圧倒的な強さを誇るLINEは、タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシアでも一定の人気を持つアプリの一つです。しかし、ASEAN諸国でLINEが大きな壁にぶつかっている理由はシンプルで、現地にはすでに先行して定着しているチャットアプリ・SNSが複数存在しているからです。
本記事では、東南アジアのチャットアプリ・SNS市場の構造を、5つの主要サービスに分けて整理します。
① アメリカ発のチャット代名詞「WhatsApp」
WhatsAppはインストールするだけでチャットが使える設計で、LINEと同様に既読状態の確認も可能です。非常に軽快なアプリでチャットに特化しており、ゲームやSNS機能は持っていませんが、写真・動画・地図・音楽の送受信に対応しています。シンプルさと安定性から、東南アジア全域で長く支持され続けているサービスです。
② インドネシアでは電話番号より重要「BBM」
BBM(BlackBerry Messenger)は、BlackBerry端末同士で無料チャットができるサービスです。インドネシアでは初対面の挨拶が「BBM PIN教えて」と言われるほど、ビジネスにも生活にも深く根付いています。
ただし、近年はBlackBerryよりも大画面のiPhoneやAndroid端末が主流となり、BBMの存在感は徐々に縮小しつつあります。それでも、インドネシアにおける「最初の連絡手段」としての慣習は依然として残っています。
③ LINE最大のライバル、中国系・全方位型SNSチャット「WeChat」
WeChatはLINEができることのほぼすべてに対応した上で、位置情報を使って周囲のユーザーとつながれるオープンな機能を備えています。世界第5位のメッセージングアプリとして、世界の4人に1人以上がインストールしているとされます。
LINEはタイを中心に、キャラクター・スタンプの可愛さや、仲のいい友人・家族が使っているという理由で利用が広がっていますが、WeChatのような既存サービスがすでに市場を抑えているため、日本のような主導権は握れていない状況です。
④ 韓国系チャット「カカオトーク」
カカオトークもLINE・WeChatとほぼ同じSNS機能付きチャットですが、現状では先行サービスに押されています。ベトナムやタイを中心とした、韓国コンテンツへの関心が強い一部ユーザー層に支持されている状況です。
⑤ 写真系・少人数限定SNSも独自の地位を確立
チャット以外で東南アジアで人気のソーシャルメディアとして、次の3つが挙げられます。
- Instagram:ASEAN全域で、画像加工と投稿が楽しめる写真系SNSとして定着
- Pinterest:マレーシアを中心とした一部の女性層で、買い物アルバム的な使い方として人気
- Path:インドネシアではFacebook疲れの反動で、友人を150人までに限定できるプライベートSNSとして支持を集める
また、Facebook連携の落ち物パズル「Candy Crush Saga」のようなゲームも、SNSとセットで生活の一部に組み込まれています。
まとめ
東南アジア市場でチャット・SNS戦略を組む際には、「LINEがあれば大丈夫」という日本の常識は通用しません。各国・各層ごとに先行定着したアプリの構造を理解した上で、現地の主流ツールに合わせた発信を組むことが、ASEAN市場で消費者と接続する最短経路です。
この記事の著者
高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。
関連リンク
公式サイト:https://asiaclick.jp
note:https://note.com/aseanmana
お問い合わせ:info@asiaclick.jp
参考資料・関連情報
- 日本貿易振興機構(JETRO)国・地域別情報:https://www.jetro.go.jp/world/
- 日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
- パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/
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