(過去の記事はこちら→第1回:http://goo.gl/MA3G9X 、第2回:http://goo.gl/GVojx1 )
日本では携帯は当たり前に日本語で使い、ネットからアプリをダウンロードできるのも当たり前。しかし、ミャンマーでは事情が全く違っていた。
■スマホでミャンマー語が表示できない?
2012年10月、私はソニーのスマホ Xpreria S という機種をヤンゴン買った。起動すると英語表記だったので、設定を変えて日本語表示にするのは簡単だった。でも、言語設定にはミャンマー語はないので、普通のミャンマー人だったら英語画面で使うしかない。言語設定にミャンマー語がないのはソニーだけでなく、ほとんどのメーカーだそうだ。
問題はそれだけではなかった。WEBやFacebookやメールでミャンマー語の文章を見ようとすると、全て "□□□□" や "????" と表示され、ミャンマー語が全然表示できない。スマホの中にミャンマー語フォントが入ってないからだ。iPhoneでもAndroidでもOSの中に世界中の多くの言語のフォントが入っていて、かなりマイナーな言語の文字でも表示できるようになっている。しかし、世界中の言語の中にミャンマー語が入ってなかったのだ。
ミャンマー語よりもずっとマイナーな言語がたくさん入っているのにミャンマー語は入っていないのには、政治的な理由がある。最近までミャンマーは欧米による経済制裁対象国だったため、AppleもGoogleもミャンマー語をサポートしてなかったのだ。パソコンのほうでは、macは2011年からWindowsは2013年からミャンマー語フォントをサポートするようになったが、スマホのほうは相変わらず入っていない(Androidの最新バージョン4.4ではサポートされたとの情報あり)。
(左側はミャンマー語フォントが入っていない。右側はミャンマー語フォントを入れた。)
■ショップでフォントを入れてくれる
私が買った機種ではミャンマー語が表示できなかったが、他の機種ではミャンマー語が表示できる場合が多い。ショップがフォントをインストールしてくれているのだ。フォントだけでなくミャンマー語入力アプリや、その他のいろんなアプリを入れてくれる。アプリまで入れてくれるのは、ミャンマーでのネット接続があまりよくないのと、ミャンマーでのアカウント取得の問題があるからだ。
一般の人にとって、自分でフォントを入れるのはかなり難しい作業になる。一種のハッキングであるRoot化(iPhoneの場合は「脱獄」)を行った上でフォントをインストールするのだ。それらの一連の操作をショップがやってくれる。ショップでできない機種の場合は、自分でやらなければいけない。以前サムスンのスマホが人気があったのは、サムスンは標準機能としてフォントが簡単に追加できるというのが理由のひとつだった。
フォントをインストールすると、Facebookでもメールでもミャンマー語が表示されるようになるが、スマホの表示言語は英語表示のままだ。これだと一般の人には使いにくい。それで最近出てきたのがミャンマー向けの独自スマホだ。機種は少ないが、インドのメーカーや台湾のHTCなどがミャンマー専用スマホを出していて、設定画面から何から全てミャンマー語で表示できる。
(ミャンマー向けに特別にカスタマイズしたスマホを売っているインドの会社)
2年前、Xpreriaを買った私はさっそくアプリをダウンロードしようとしたが、Googleのダウロード公式サイトPlayストアに接続できない。何と、ミャンマーからのアクセスをGoogleがブロックしていたのだ。一般のミャンマー人はショップでアプリをインストールしてもらうようだ。その状況が変わったのが、2013年4月だ。突然、Playストアにログインできるようになった。それでも、ダウンロードできるのは無料アプリのみで、有料アプリは相変わらずダウンロードできない。iPhoneの場合は問題なかった。2012年の時点で有料アプリも含めて全て自由にダウンロードできていた。
■電話料金はプリペイドカードで
最後に、携帯料金の払い方を紹介したい。ミャンマーではほとんどの携帯はプリペイド方式だ。5,000チャット(約500円)と10,000チャット(約1,000円)の2種類のカードがあり、コンビニや小さな雑貨屋などでも売っている。注意しないといけないのが、GSM, W-CDMA, CDMAの各方式でカードが違うことだ。それに、去年出た1,500チャットSIMはまた別のカードになっている。店でカードを購入するときは十分注意しなければいけない。
カードを購入後、裏のスクラッチを削ると18桁の番号が出てくる。たとえば、この番号が 11 2222 3333 4444 5555 だとする。スマホを電話通話にして、電話番号部に
*123*112222333344445555#
と入力して通話ボタンを押すと料金が補充される。補充後、補充完了のテキストメッセージが届く。
(GSM用プリペイドカード。通信方式によってカードも別になっている。)
■今年がミャンマーの携帯元年
今年2014年には外資の携帯キャリア2社が営業を始める。また、ミャンマー語やアプリダウンロードの問題も、すこしずつ解決してきた。世界の中で例外的に携帯の普及率が低かったミャンマーだが、今年は一気に普及が進むだろう。
(ミャンマー担当/後藤)