2013年11月26日火曜日

ミャンマーのソーシャルメディア事情——LINE使えず、Facebookの一人勝ち

当記事の3行まとめ

  1. ミャンマーのスマートフォン所持者のほぼ全員がFacebookに登録しており、ビジネス活用ではFacebook一択の市場
  2. ビルマ語フォントへの対応問題から、Samsung Galaxyが圧倒的に普及している
  3. 仏教国ミャンマーの「シェア」文化と相性が良く、チェックインを軸にしたキャンペーンがホワイトカラー層に有効

前提:ヤンゴンの不動産バブルとインフラ整備

民主化が進み、経済が目に見えて急拡大しているミャンマー(ビルマ)。前回の現地携帯電話事情に続き、今回は現地ソーシャルメディア事情を整理します。

ヤンゴンのオフィス賃料はアジアでも最上位クラスで、平米単価1万円規模に達しています。Sakura Towerの平米単価は100ドルで、東京を上回る水準です(出典:JETRO)。

① ビルマ語が標準で使えるのはSamsungだけ

ミャンマーのスマートフォン市場で、Samsungが圧倒的なシェアを持っている最大の理由は、ビルマ語フォントへの対応のしやすさです。Samsung端末は比較的簡単にビルマ語フォントをインストールでき、現地の携帯販売店で標準的にビルマ語化のサービスが提供されています。

他メーカーの端末でも、Root化や脱獄によってインストールは可能です。最近はHTCやインドのメーカーがAndroidをカスタマイズし、OS表示自体をビルマ語化した機種も登場し始めています。

② Facebookの一人勝ち、他のSNSは苦戦

ミャンマーのSNS市場における各サービスの位置づけは、明確に分かれています。

  • Facebook:スマホ所持者のほぼ全員が登録済み
  • Twitter:Facebookで間に合っており、特に流行っていない
  • LINE:あまり知られておらず、電話番号を登録してもメッセージが届かないケースもある
  • Viber:特殊な方法を使えば電話番号認識が可能
  • WeChat:中華系アプリのため、あまり知られていない

実際にLINEのインストールを試したところ、Google Play公式ではダウンロード不可で、One Mobile Marketなどの非公式サイト経由でのダウンロードとなりました。SMSによる承認番号は届かず、Facebookアカウントでの登録に切り替えてアカウント作成に成功しました。Viberも同様の手順で、音声による番号案内サービスを使ってアカウント登録ができました。

③ メディアもFacebook先行——民主化と新メディアの順序

ここ1〜2年で携帯電話の普及が進み、家族や友人とのやりとりのためにほぼすべての携帯ユーザーがFacebookを利用しています。主要企業やメディアもFacebookページを開設しており、ラジオCMでも「Facebookページを見てください」というメッセージが流れます。

新聞メディアに至っては、主要5紙が紙面に印刷される前にニュースをFacebookに先出しするほどの状況です。ミャンマーでは民主化に伴ってここ数年で80を超えるタブロイド版ジャーナル誌が新たに出版されました。先進国のような「紙が先、ネットが後」という順序ではなく、ネット先行・紙が追いかけるという順序で情報流通が形成されているのが特徴です。

④ 仏教国ミャンマーの「シェア」文化とチェックイン

ミャンマーでスマートフォンからFacebookを利用する際、iPhoneはビルマ語に標準対応していないため、Samsung Galaxyが選ばれる傾向が強くあります。さらに、写真や画像をBluetoothで直接やりとりできる点もAndroid同士の強みになっています。ビルマ語非対応の端末利用者向けに、ビルマ語のテキストを画像化して投稿する習慣も根付いています。

ミャンマー人のFacebook利用で特徴的なのが「チェックイン」です。レストラン、モール、自宅などへの移動のたびに、Facebookで画像も文章もない単なるチェックインによって自己アピールを行うのがミャンマー流です。ただし、これは外出機会の多いオフィスワーカー層が中心で、学生層はあまりチェックインを行いません。

シェアという行為がソーシャルメディア上だけでなく、生活全般で強く根付いている背景には、仏教国としての文化的素地があると考えられます。今後、チェックイン活用型のキャンペーンは、ミャンマーのホワイトカラー層に対して有効な施策になっていくはずです。

まとめ

ミャンマーは2011年からFacebook利用が広がり、日本より少し遅れたタイミングで普及が始まりました。しかし、現在ではほぼすべてのスマートフォンユーザーがFacebookを使っており、その情報交換は日本ほど炎上やプライバシーへの警戒が強くありません。

経済の急拡大期にあるミャンマー市場へ進出するなら、Facebookページの開設・運営は必須インフラと位置づけるべきです。チャットアプリではなくFacebookに集中投資すること、Samsung Galaxy中心のユーザー基盤を前提に画像主体の発信を組むこと、チェックインを軸にしたキャンペーン設計を行うこと——この3点が、ミャンマー市場でのSNS活用の基本路線になります。


この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

協力
ヤンゴン・後藤修身氏

関連リンク
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