当記事の3行まとめ
- ハラルはイスラム法で許された項目を指し、食品では豚肉やアルコールに加え、加工・調理の作法にも条件がある
- マレーシアではハラルマークが食品に表示されているが、日本では同等のマークがほとんど見られず、訪日ムスリムは食事に苦労している
- 近年はネット検索やFacebookページ「Halal Japan」、ハラル肉のオンライン購入など、日本でもハラル対応の情報インフラが整いつつある
アジアクリック・マレーシア特派員のシャキルです。多くの方にハラルについて知っていただくため、ハラルに関する記事を継続的に書いていきます。よろしくお願いします。
① ハラルとは何か——イスラム教徒が守るべき食事のルール
イスラム教は世界で最も信徒数の多い宗教の一つです。他の宗教と同様に、特定の行動が禁止されています。ルールに従って生きるイスラム教徒がどこに行っても守らなければならないことの一つに、食事があります。基本的に、ムスリムはハラル(イスラム法上で許された)食品しか食べることができません。
ハラル(حلال/Halāl)とは、イスラム法で許された項目を指す言葉です。主にイスラム法上で食べてよい食品を表します。イスラム法のもとでは、豚肉を食べることが禁じられているのに加え、その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求されます。
② 食品だけでなく、飲み物にも禁止事項がある
禁止されているのは食品だけではありません。飲み物にも禁じられている種類があります。代表的なものはお酒です。
ただし、豚肉やお酒以外なら何でも食べてよいというわけではありません。原材料・製造工程・加工方法など、複数の観点からハラルかどうかを確認する必要があります。マレーシアでは、流通している食品にハラルマークが表示されていることで「この食品はムスリムが食べてよい」と一目で判断できる仕組みが整っています。
③ 日本での課題——ハラルマークが少なく、特に日本語ができないムスリムには敷居が高い
一方、日本ではハラル(حلال)の表示がある食品はまだ少ないのが現状です。特に日本語ができないムスリム訪日者にとって、ハラル食材を確認することは大変敷居が高い作業になります。原材料表記が日本語のみで書かれていれば、何が含まれているか確認すること自体が難しく、安心して食事ができない状況が生まれます。
日本に来るムスリムが最も困るのは、まさにこの食事の問題です。観光地でせっかく時間を取って訪れても、食事に対する不安が常につきまとうのは、訪日体験の満足度を大きく下げる要因になります。
④ 情報インフラの進化——ネット検索とFacebookで情報が手に入る時代に
ただし、近年は情報技術の進化によって状況が改善しつつあります。「ハラル 食べ物」のようにキーワード検索をすれば、ハラル対応のレストランや食材の情報がすぐに見つかるようになりました。実際、東京・新宿・秋葉原をはじめ、ハラル対応レストランが各地に登場しています。
さらに、Facebookには「Halal Japan」というページがあり、セブンイレブンなどのコンビニで購入できるハラル対応食品の情報を継続的に発信しています。コンビニで何が買えるかが分かるだけで、訪日ムスリムの安心感は大きく変わります。
自炊したい場合も、ネット通販でハラル対応の肉や各種食材を注文できる環境が整ってきました。これによって、日本に来たいと考えているムスリムが、より安心して日本観光を楽しめる素地が整いつつあります。
まとめ
マレーシア人ムスリムをはじめとする訪日ムスリムにとって、ハラル対応はいまも訪日の最大の障壁です。しかし、情報インフラの整備、ハラル対応レストランの増加、Facebookページなどの情報源、ハラル食材のオンライン購入といった環境改善によって、ハードルは確実に下がってきています。
日本側がこの流れを後押しし、ハラル表示の普及と情報発信の多言語化を進めていけば、世界15億人のイスラム市場の訪日が、本格的な拡大局面に入る可能性は十分にあります。
この記事の著者
シャキル(アジアクリック・マレーシア特派員)
マレーシア出身。現地ムスリムの視点から、ハラル文化・訪日ムスリム観光・マレーシア市場に関する一次情報を発信。アジアクリック(代表:高橋学)所属。
監修
高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。
関連リンク
公式サイト:https://asiaclick.jp
note:https://note.com/aseanmana
お問い合わせ:info@asiaclick.jp
参考資料・関連情報
- 日本貿易振興機構(JETRO)マレーシア国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/my/
- マレーシアイスラム開発局(JAKIM)ハラル認証:https://www.halal.gov.my/
- マレーシア観光局(Tourism Malaysia):https://www.tourism.gov.my/
- パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/
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