2018年5月3日木曜日

【2018年度版】フィリピン人観光客を誘客する3つのポイント

フィリピン人観光客を誘客する3つのポイント

当記事の3行まとめ

1. マニラの主要旅行会社へ営業する
2. 増え続けるFIT個人旅行者へFacebookでPRする
3. 英語圏であることを強みに、英語メディアを活用する

前提:フィリピンは新興訪日市場として、ベトナムより大きくシンガポールより伸びしろがある

2017年、フィリピン人訪日客はシンガポール人訪日客を抜き、2018年度にはアメリカ、タイに次ぐ規模に到達する見通しが出ています。注目すべきは、その伸び方です。シンガポール・マレーシア・インドネシアと違ってビザが解禁されておらず、日本側の地方自治体もほとんどフィリピン国内向けにPRをしていないにもかかわらず、年間40万人以上のフィリピン人が自発的に日本を訪れているのです。

現時点でフィリピン市場に積極的に動いているのは、長野県・佐賀県・日光市など一部の自治体に限られます。背景には、かつて芸能ビザで来日したフィリピン人への古いイメージが残っていることがあると聞きます。しかし実際にマニラを訪れると、その経済的な発展ぶりに驚かされます。新興市場としての規模感はベトナムを上回り、伸びしろの大きさではシンガポールを超えると、私は見ています。

私自身、年に数回フィリピン現地で日本側の営業活動を行っています。その経験から、フィリピン市場へのアプローチに必要な3つのポイントを共有します。

① 主要旅行会社への営業

マニラ首都圏には現地ローカル旅行会社が数十社存在します。すでに40万人が日本旅行に渡航している以上、これらの旅行会社が実需を捌いていることになります。

特に、在フィリピン日本大使館から認定を受けた現地旅行会社が約10社あり、FIT個人旅行客の日本ビザ申請を1日数百人規模で処理しています。フィリピン市場に新規参入するのであれば、まずはこの認定旅行会社へのアプローチが起点になります。

② 増え続けるFIT個人旅行者へのPR

①で触れた通り、現在のフィリピン人訪日のトレンドは個人旅行です。形式上はツアーとして募集しつつ、日本到着後は現地解散、帰国便前に現地集合という、実態がフリー旅行に近い商品を販売している旅行会社もあると聞きます。

フィリピンのFIT個人旅行者に最も効率的に届く手段はFacebook広告です。直接配信するルートに加え、現地ローカル旅行会社と交渉し、彼らのFacebookページに投稿してもらう手法も有効です。

③ 英語圏であることを強みに、英語メディアを活用する

フィリピン人はほぼ全員が英語を話します。近年はタガログ語が話せないフィリピン人も増えてきています。情報源として英語圏メディアを直接参照しているため、ベトナム市場などと異なり、福島の原発事故についても認識があります。風評被害の影響は一定程度あると認識しておくべきです。

逆に言えば、これは英語コンテンツを通じて効率的にリーチできる市場だということです。BBCやCNNなどの大手英語メディアへの掲載は数千万円規模のコストがかかるため現実的ではありませんが、英語による情報発信を活かせる点では、Facebookでの英語投稿が費用対効果の最も高い入り口になります。

まとめ

以上、新興訪日市場としてのフィリピンへのアプローチを3つのポイントで紹介しました。フィリピン国内にはマニラだけでなく、セブ、ダバオといった第二・第三の主要都市があり、今後日本旅行博の開催も予定されています。これらについては別の記事で改めて取り上げます。フィリピン現地での営業については、私もお手伝いできます。

———

この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

関連リンク
公式サイト:https://asiaclick.jp
note:https://note.com/aseanmana
お問い合わせ:info@asiaclick.jp

参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)フィリピン国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/
・在フィリピン日本国大使館:https://www.ph.emb-japan.go.jp/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

公開日:2018年5月3日

(2018年版)タイの現地旅行会社にツアーを造成してもらう3つのポイント

タイランドの旅行会社にツアーを造成してもらう3つのポイント

当記事の3行まとめ

1. 他の観光地にない観光資源を「線」でつなぐ
2. 助成金を広域でまとめてコストを下げる
3. 人間関係を構築する

前提:タイ訪日市場はFIT9割、しかし送客評価は旅行会社経由が現実

タイランドでの日本旅行は、団体ツアー比率が1割を切り、残りはFIT個人旅行者と言われています。背景には、バンコク発の格安航空券(LCC)が往復6万円前後、セール時には2〜3万円まで下がるという航空券の手の届きやすさがあります。

FITタイ人旅行者へのPR手段は、スマートフォン上の口コミ対策、すなわちFacebook広告とタイ語掲示板(パンティップ等)への露出が中心です。

一方で、FIT個人旅行者は実数の把握が難しいため、観光団体・自治体・旅行業企業の効果測定は、旅行会社経由の送客数で行われるのが実情です。つまりFITが主流の市場であっても、旅行会社との関係構築は依然として重要だということです。

私自身、タイ王国バンコクにおいて旅行会社の担当者とほぼ毎月やりとりを重ねて数年になります。その経験から、タイの旅行会社に訪日ツアーを造成してもらうための3つのポイントを共有します。

① 他の観光地にない観光資源を「線」でつなぐ

桜・酒・雪は、日本のどの地域でも共通して訴求できる観光資源です。だからこそ、それだけでは差別化になりません。「そこに行かなければ体験できない理由」、つまりその地域固有の観光資源をPRすることが必要です。

例えば私が担当している東北地域であれば、ドラゴンアイ、樹氷、キツネ村などが該当します。ただし、旅行会社の担当者の視点で見れば、ツアーを組成するためには、これらの素材がバスの行程上で無理なくつながる「線」になっている必要があります。点として強い素材を、移動ストレスのない動線に落とし込むことが、造成の前提条件になります。

② 助成金を広域でまとめてコスト低減を図る

東京・大阪・札幌のようにバンコクから直行便のある地域は、それだけで旅行会社にとって扱いやすい商品です。一方、直行便のない地域は、交通手段の確保・移動時間・人件費の増加により、コスト面でも心理的負担の面でも商品化のハードルが上がります。

このコスト構造を前提にすると、1つの県・市町村の単独助成金では金額が小さく、旅行会社が動きにくい場面が多くなります。近隣地域の助成金を広域で取りまとめ、一人当たり30,000円以上の規模にできれば、新しい地方のツアー造成に対して旅行会社は前向きに動きます。

大前提として理解しておくべきなのは、旅行会社は株式会社であり、利益が出ない案件には動かないということです。義理や熱意ではなく、ビジネスとして成立する条件を整えることが先です。

③ 良い人間関係を構築する

タイランドの人々は情に厚く、ビジネスとして成立しないと分かっていても話を聞いてくれる担当者がいます。だからこそ、今年ツアーが売れなかったとしても、相手にとって有用な情報提供を継続し、相手の立場を理解する姿勢を持ち続けることが、長期的な関係構築につながります。

日本と異なり、海外では表敬訪問だけのアポイントは歓迎されず、ビジネスの議題がないと面会自体が成立しません。それでも、情の深いタイの旅行会社担当者は、継続的なやりとりを通じて少しずつ心を通わせ、協力的なパートナーになってくれます。

まとめ

以上、タイランドにおける旅行会社へのアプローチ方法を3つ紹介しました。実際の運用では、シーズナリティの読みや、タイ人が好む観光地との組み合わせなど、現場的な知識と経験が必要です。現地での具体的な進め方については、私もお手伝いできます。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)タイ国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/
・世界旅行ツーリズム協議会(WTTC):https://wttc.org/

公開日:2018年5月3日

2018年1月21日日曜日

【2018年度版】ベトナム人観光客を誘客する3つのポイント

当記事の3行まとめ

1. ビザ未解禁のため団体ツアー中心、ただし商用個人旅行が4割まで伸びている
2. ベトナムの旅行会社は日本の地方知識が浅いため、日本側ランドオペレーターによる丁寧な造成支援が前提
3. 訪日情報源はJNTO・旅行会社サイト・Facebookの3経路に集約、若年層にはFacebookとWebでアプローチ

前提:ベトナム訪日市場はビザ未解禁、団体ツアー主体だがFIT化が始まりつつある段階

ベトナム人観光客はまだ訪日ビザが解禁されておらず、基本的には旅行会社経由で日本旅行を申し込むことになります。これがベトナム市場の最大の構造的特徴であり、タイやシンガポールのようなFIT主導の市場とはアプローチの起点が異なります。

ただし、近年は商用を兼ねた訪日が約4割を占めるまでに増えており、純粋な観光以外の渡航ルートからFIT個人旅行の素地が育ち始めています。2018年は、ベトナムにとって本格的なFIT旅行元年に近い局面と捉えています。

私自身、ベトナム市場の動向を継続的に見てきた立場から、ベトナム訪日誘致に必要な3つのポイントを共有します。

① 団体ツアーを主軸にしつつ、商用兼FITも視野に入れた旅程造成を行う

ビザ未解禁の構造上、ベトナム訪日の主軸は依然として団体ツアーです。一方で、商用渡航と観光を組み合わせた渡航が4割を占めるという事実は、PR・旅程造成のターゲット設計を「純粋観光だけ」に絞り込むと取りこぼしが大きいことを意味します。団体ツアー商品と並行して、商用兼観光を想定した短期型・複数都市周遊型のプランも視野に入れて造成すべきです。

② ベトナム旅行会社への情報提供と、日本側ランドオペレーターの伴走が前提

ベトナム訪日のアプローチも、まず現地旅行会社との協力が出発点になります。日本の地方への対応力という点では、HISなどの日系旅行会社がやはり一日の長があります。

ローカル旅行会社は、大手であっても2018年1月時点では、日本の地方のツアー日程を自社単独で造成できるほどの経験と知識を持っていません。したがって、ローカル旅行会社と組む際は、日本側ランドオペレーターが旅程造成のコミュニケーションを密に引き受ける体制が必須になります。「商品を渡せば売れる」段階ではなく、「商品の作り方から伴走する」段階だと認識すべきです。

③ 若年層にはFacebookとWebでアプローチする

ベトナム人にとっての訪日情報源は、現状ほぼ次の3経路に集約されています。

・JNTOなどの訪日ポータルサイト
・旅行会社のWebサイト
・JNTOや旅行会社のFacebookページ

民間の訪日メディアはまだ数えるほどしかなく、情報チャネルが寡占的に絞られているのがベトナム市場の特徴です。新聞好きと言われたベトナム人も、いまや情報接触の中心はスマートフォンに移行しています。

注意すべきは、ベトナム人は無名のブランドやファン数の少ないFacebookページを信用しない傾向があることです。発信を始める際は、フォロワー基盤の整備、現地で認知された旅行会社・公的機関との連携、継続的な投稿の3点を前提に設計する必要があります。

まとめ

以上、ベトナム訪日市場へのアプローチを3つのポイントで整理しました。タイやシンガポールとは異なる構造を持つベトナム市場では、「団体ツアー主軸+商用FITの取り込み+日本側の造成伴走」が当面の基本戦略になります。

ベトナム人にとっての日本のイメージは、現時点では桜と雪が中心です。今後どの観光地が話題化し、新たな訪日先として定着していくか。地方にも十分に勝機のある市場だというのが、2018年時点での私の見立てです。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)ベトナム国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/
・在ベトナム日本国大使館:https://www.vn.emb-japan.go.jp/
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公開日:2018年1月21日

2018年1月16日火曜日

【2018年度版】シンガポール人観光客を誘客する2つのポイント


当記事の2行まとめ

1. 個人旅行(FIT)比率が9割超のため、英語Web上で「ここにしかない体験」を発信し続ける
2. 1割の団体ツアー層には、東京・大阪と組み合わせられる1〜2泊のカセットプランを提供する

前提:人口約560万人のうち年間30万人以上が訪日するリピーター市場

シンガポールからアジアクリックの高橋学です。シンガポールで起業してから4期が経ちました。実際に住んで働いてみると、シンガポール人もごく普通の人々です。一方で、独立から52年でジャングル状態の土地からここまで発展させた国家運営は、他に類を見ません。小国だからこそ可能な挑戦や統制という側面はあるものの、リー・クアンユー氏が築いた国家設計は世界的に見ても傑出しており、シンガポール国民が誇りとしている通りだと感じます。

本日は、この熱帯の小国シンガポールからの訪日誘致について、2つのポイントをお伝えします。シンガポール人が訪日に求めているのは、洗練されたものではなく、生に近い本物の体験です。

なお、シンガポールの人口は約560万人。そのうち30万人以上が毎年日本を訪れており、これは台湾・香港に次ぐ規模のリピーター市場です。新規開拓ではなく、リピーターに深く・より日本的な情報を発信し続けることが、この市場の戦略の中心になります。

① 個人旅行(FIT)比率9割以上——英語Webでの情報発信が中心戦略

シンガポール人観光客の典型像を整理すると、英語と中国語がほぼネイティブ、大学院卒も多く、IT環境の整備度合いは日本・韓国を上回ります。

この属性が意味するのは、インターネットでの情報収集と旅行計画は彼ら自身で完結できるということです。さらに、本物の情報と広告を見分けるリテラシーも高水準にあります。したがって、シンガポール市場へのアプローチは「ここにしかない観光スポット、ここでしかできない体験」を英語のWeb上で発信し続けることが軸になります。

媒体としては、Facebookでも、英語のホームページ+Google広告でも有効です。重要なのは「シンガポール人の旅行先候補の一つに、自分の地域を入れ続ける」という継続的な情報提供の姿勢です。なお、シンガポール市場では中国語コンテンツは原則不要で、英語のみで十分にリーチできます。

② 1割の団体ツアー層には、1〜2泊のカセットプランを提供する

シンガポール訪日市場でアプローチが難しいのは、残り1割の団体ツアー(GIT)層です。ダイナスティなど大手旅行会社もすでにFITパッケージを揃えてきており、団体客だけでは売上が立てられなくなっているのが現状です。

それでは1割の団体ツアー利用者は誰か。具体的には、3世代家族での渡航、または両親を連れて気軽に日本旅行を楽しみたい30代の子連れ夫婦などが中心です。彼らに共通するキーワードは「楽で楽しい、移動が楽で、思い出の写真がたくさん撮れる旅程」です。

このセグメント向けには、東京や大阪に組み合わせて販売できる1〜2泊規模のカセットプランの提供が有効です。旅行会社や担当者の嗜好によって組み込み条件は異なりますが、現実的にインアウトしやすい動線設計と、最後の一押しとしての助成金が、団体ツアーへの組み込み確率を引き上げます。

まとめ

シンガポール訪日市場は、9割のFIT層への英語Web発信と、1割のGIT層への東京・大阪連携カセットプランの2軸で攻めるのが基本戦略です。便利さや洗練ではなく、その地域でしか得られない生に近い日本体験を、リピーターに対して継続的に届け続けることが、この市場で勝ち残る鍵になります。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/
・シンガポール政府統計局(Department of Statistics Singapore):https://www.singstat.gov.sg/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

公開日:2018年1月16日

【2018年度版】 マレーシア訪日市場の4つの特徴——多民族国家ならではの訪日構造を読み解く

当記事の4行まとめ

1. マレー系とマレーシア華人は訪日動機・ハラル条件・購買行動が異なるため、設計を分ける必要がある
2. マレー系ムスリム旅行者にとってハラル対応は最重要条件
3. 大家族文化を背景に、年配者を含む団体ツアー需要が一定規模で残る
4. 若年層FITの訪日準備はスマートフォン上で完結する

前提:マレーシアは多民族国家であり、訪日層もマレー系と華人系の二層構造

マレーシアは多民族国家であり、訪日市場における2大セグメントは、イスラム教徒であるマレー系と、マレーシア華人です。両者は文化的背景・宗教条件・購買行動が大きく異なるため、シンガポール(FIT9割)やタイ(民族融和を経た自由な訪日形態)とは違い、セグメント別にアプローチを設計する必要があります。

マレー系は、ブミプトラ政策により最上位に位置づけられている民族で、生活面で優遇されています。法律上、マレー系はイスラム教徒であることが定められています。

一方、マレーシア華人は、4〜5世代前に主に中国大陸南部から移住してきた中華系の人々で、現地での土着化を経て、富とネットワークを持つ一族も多く存在します。

マレーシアは熱帯気候で日本のような四季がないため、春の桜・秋の紅葉・冬の雪に関するアクティビティ、および季節行事や風習への関心が共通して強いのが特徴です。訪日初回は東京・関西などのアクセスしやすい都市と日本文化体験から始まり、2回目以降に北海道・九州・ゴールデンルート、さらにその先で東北・四国などの地方へと周遊が進みます。

① マレー系とマレーシア華人の違いを理解する

マレー系訪日者は、ムスリムであるためハラル対応が前提条件となります。ただし、現時点では日本のハラル対応に過度な期待はせず、カップラーメンなどを一定量持参して自衛しながら訪日旅行を行っているのが実態です。日本側がこのギャップを埋められれば、マレー系市場は大きく伸びる余地があります。

マレーシア華人は宗教上の制約がない分、購買行動は同行する家族の楽しみ・嗜好・期待を満たすことが最優先になります。具体的には、孫がアニメ好きであれば聖地巡礼を組み込み、祖父への孝行旅行であれば祖父母が楽に楽しめる動線を最優先するなど、一族のピラミッド型家族構成に合わせて旅程が決まり、価格よりも体験の質が優先される傾向があります。

② マレー系ムスリム旅行者にとってハラル対応は最重要条件

マレー系ムスリムは、食事・礼拝・アルコール・観光地での配慮など、複数の条件をクリアできる旅程を求めます。日本側の現状はハラル対応が不十分であるため、訪日者は持ち込み食品で自衛している段階です。

逆に言えば、ハラル認証取得・礼拝スペース整備・ハラル対応レストランの動線への組み込みといった対応を進められた地域は、マレー系市場で先行優位を築けるということです。日本のハラル対応はまだ初期段階にあり、地方であっても参入障壁は高くありません。

③ 大家族文化を背景に、団体ツアー需要が一定規模で残る

マレーシアでは、年配者を含む3世代以上の大家族での訪日が珍しくありません。年配者の移動や海外での不便に対する不安があるため、GIT(団体ツアー)を得意とするクアラルンプールの中華系団体旅行会社に相談・参加するルートが定着しています。

ただし、富裕層はこのパターンに限らず、オリジナルツアーを手配して家族の希望を細部まで反映させる形を選びます。「団体ツアー=価格重視」ではなく、「団体ツアー=家族の安心と利便性重視」という前提で商品設計を考える必要があります。

④ 若年層FITの訪日準備はスマートフォン上で完結する

マレーシアは訪日ビザが解禁されているため、若年層はより安価な個人旅行を組みます。彼らの行動パターンは次の通りです。

・友人と日程を擦り合わせる
・その期間のAirAsia等LCCの価格をチェックし、まず航空券を確保する
・Facebookの口コミを参照しながら、興味を持った観光スポットをGoogleマイマップに登録していく
・マイマップ上で移動計画を組み立てる

訪日準備のすべてがスマートフォン上で完結する点が、マレーシア若年層FITの行動の特徴です。日本側の情報発信も、Facebook・Googleマップに対応した形でなければ選択肢に入りません。

まとめ

マレーシア訪日市場で押さえるべきは次の4点です。

・マレー系とマレーシア華人で動機・宗教条件・購買行動が異なる
・マレー系ムスリムにとってハラル対応は最重要条件
・大家族文化を背景に、団体ツアー需要が一定規模で残る
・若年層FITの訪日準備はスマートフォン上で完結する

シンガポール(FIT9割)やタイ(民族融和を経た自由な訪日)とは異なる、多民族国家マレーシアならではの訪日構造があります。セグメント別の設計を前提に取り組むことが、この市場で結果を出す出発点になります。

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高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)マレーシア国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/my/
・マレーシア観光局(Tourism Malaysia):https://www.tourism.gov.my/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

公開日:2018年1月16日

2018年1月12日金曜日

【2018年度版】タイ王国マーケット——訪日、進出、お薦めビジネス

タイ・バンコクからサワディカップ、アジアクリックの高橋学です。

今日は2018年度版として、ASEAN諸国の訪日市場の特徴をお伝えします。基礎データはJETROおよびJNTOの最新情報をご参照ください。

■タイ王国

1)タイの訪日市場

ASEANの中で、FIT誘致が最も効果を出しやすいのがタイランドです。日本人気が安定して続いているため、PRはFacebookとパンティップ掲示板の二本柱が有効です。

グループツアーについても、主要旅行会社が訪日商品の造成に前向きです。商談時には、観光地の核となる魅力と、補助金などビジネス条件の二点を整理して持参し、旅行会社と協働でツアーを組み立てるのが定石です。

2)タイへの進出

タイは消費市場としても生産拠点としても魅力があります。

消費市場としては、バンコクに加え、コラート(ナコーンラーチャシーマー)やチェンマイといった地方主要都市にも、サービス業・飲食業の層が厚く形成されています。生産拠点としても、人材とインフラの安定度が高く、結果として日本からの視察件数はシンガポールを上回る水準にあります。

3)タイでのビジネスのお薦め——3つの切り口

① 訪日

2017年度のタイ人訪日客数は80万人を超え、シンガポール、マレーシア、ベトナム、フィリピンの2倍以上の規模に達しています。タイでは4年以上にわたり、訪日旅行が最も人気のある消費商品であり続けています。中間層以上は休暇と予算が揃うたびに日本を訪れ、日本料理とタイとは異なる文化体験を求める流れが定着しました。個人旅行・団体ツアーいずれにおいても、相手は日本への興味が素直に強いタイ人であり、他のASEAN市場と比べて取り組みやすい市場だと実感しています。

② 高付加価値産業

経済成長に伴い、タイでは富裕層の拡大と中間層との格差拡大が同時進行しています。消費の質も上がっており、バンコクの大学生は美味しさだけでなく健康価値の高い食品を価格を厭わず購入し、スマートフォンではなくキヤノン・OLYMPUS・富士フイルムといった日本ブランドの一眼レフカメラを親にねだる層も出てきています。

その背景には、タイ人特有の「宵越しの銭は持たない」気質があります。南国ゆえに食うに困って命を落とすことはなく、仏教国としての相互扶助も機能しているため、貯蓄圧力が日本ほど強くありません。「マイペンライ」に象徴される、細部やメンツに過度にこだわらない価値観も、消費の自由度を高めています。

③ リタイア

日本にない自由とのんびりした生活がタイにあり、タイにない規律と質の高さが日本にあります。両国はそれぞれ補完関係にあると言えます。現在タイには6万人の日本人が在住していますが、生きづらさを増す日本とタイの二拠点生活を選ぶ富裕層は、今後さらに増えていくと見ています。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

関連リンク
公式サイト:https://asiaclick.jp
note:https://note.com/aseanmana
お問い合わせ:info@asiaclick.jp

参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)タイ国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/
・タイ国政府観光庁(TAT):https://www.tourismthailand.org/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

公開日:2018年1月12日

2016年8月15日月曜日

特派員ブログURLはこちらです。


特派員レポートブログをこちらに移転致しました。



これまでのブログが、内容、読みやすさ、ともにパワーアップ移転しております!

・東南アジアのソーシャルメディア事情、ビジネス活用事例
・訪日観光インバウンド
・東南アジア進出

など、現地でのソーシャルメディア利用方法や消費者の姿を伝えます。



ASEANでのPRのお問合せはアジアクリックまでお気軽に。

電話 03-6811-7240(平日 9〜18時)
メール info@asiaclick.jp

担当:高橋までお気軽にどうぞ。

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公式サイト:https://asiaclick.jp
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2014年7月16日水曜日

アジア富裕層はビザなし訪日を可能にすべき——シンガポールから見た日本観光開国論

当記事の3行まとめ

1. アジア富裕層が求めているのは、お金では買えない本物の体験と安心・安全
2. 桜・温泉といった日本の無形観光資産は、韓国・台湾のPRに置き換えられつつある
3. 訪日客1000万人時代でも、シンガポールやマレーシアの観光客受入規模には大きく劣る

前提:大前研一氏のビザ撤廃提案に、現地からも賛成

大前研一氏が「アジア富裕層はビザなし訪日可能にすべき」と提案する記事を読みました(出典:NEWSポストセブン 2014年7月15日)。

シンガポールを拠点に、ASEAN・台湾・香港の訪日観光PRに携わる立場から、現地の実感を踏まえてもこの提案に大いに賛成します。以下、その理由を3つの論点から整理します。

① アジア富裕層が求めているのは、お金では買えない本物の体験と安心・安全

アジア富裕層がいま求めているものを整理すると、次の5点に集約されます。

・日本ビザ申請手続きが面倒で、それだけで気持ちが遠のいている
・ASEANの人々が「世界で最も観光したい国」として挙げるのは日本である
・富裕層は高い質の体験・サービス・商品、そして安心と安全を求めている
・富裕層に響きやすい高価値で文化的な観光コンテンツを、日本は保有・開発している
・日本は観光コストが高い国だが、富裕層は「お金はいくらかかっても良いから貴重な体験を」という発想で動く

要するに、アジア富裕層は「お金では買えない体験」を求めているのです。韓国・台湾・タイよりも表現しにくく、再現性の低い貴重な体験を提供できるのはどこか。歴史が長く、独自の文化を蓄積してきた日本に、その優位性があります。

② 富裕層には精神的に豊かになる体験を——シンガポール富裕層と高知の網引き漁

先日、シンガポールの富裕層20人を高知の網引き漁に案内した際、現地で漁を一緒にした老夫婦から後日ビデオレターが届き、シンガポール側の富裕層は感激してさらに別の富裕層を連れて再訪した、という出来事がありました。

ここで強調しておきたいのは、シンガポールの富裕層と中国の新興富裕層の違いです。シンガポールの富裕層の多くは、4〜5代続く華人の名家であり、欧米の大学院を修了した教養ある文化人層です。彼らが反応するのは、ブランド消費ではなく、地域に根ざした人との交流や、その土地の暮らしに触れる体験です。

③ 桜や温泉といった日本の無形観光資産は、韓国・台湾のPRに置き換えられつつある

近年、韓国は桜を、台湾は温泉を、ASEAN市場向け広告の中核に据えてPRを展開しています。日本が長年保有してきた無形観光資産が、韓国のもの・台湾のものとしてASEANで認識され始めているのが現状です。

訪日外国人は2013年にようやく1000万人を超えましたが、人口約560万人のシンガポールには年間1500万人、人口約2800万人のマレーシアには年間2500万人の外国人観光客が訪れています。日本は受入規模で大きく差をつけられており、抜本的な制度改革なしには、世界的な観光誘致競争でさらに後れを取る局面に入っています。

まとめ

お金が全てを測る物差しではありません。しかし、親日で、教養があり、日本の文化・歴史・季節・地域差の機微まで理解できるASEAN富裕層に対しては、日本の門戸をより大きく開いて良いのではないでしょうか。

ビザの簡素化は単なる手続きの問題ではなく、日本がアジア富裕層に対してどのような姿勢を示すかというメッセージそのものです。観光立国を掲げるのであれば、ターゲット層の実態に合わせた制度設計が問われています。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

関連リンク
公式サイト:https://asiaclick.jp
note:https://note.com/aseanmana
お問い合わせ:info@asiaclick.jp

参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)国・地域別情報:https://www.jetro.go.jp/world/
・シンガポール政府観光局(Singapore Tourism Board):https://www.stb.gov.sg/
・マレーシア観光局(Tourism Malaysia):https://www.tourism.gov.my/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

公開日:2014年7月16日

2014年5月7日水曜日

香港のソーシャルメディア事情——「香港でなくなった」香港で、SNSが消費の主戦場になっている

香港のソーシャルメディア事情——「香港でなくなった」香港で、SNSが消費の主戦場になっている

当記事の3行まとめ

1. 中国大陸化が進む香港では、若年層の不安と消費行動の変化が同時進行している
2. 香港人の日常はスマートフォンが中心で、Facebook・Instagram・LINEが主要チャネル
3. 飲食店から大手ブランドまで、香港マーケティングではSNS活用が前提条件になっている

前提:「香港でなくなった」香港——中国大陸化が進む中での消費社会の現在地

中国に返還されて以降、経済的に大陸化が進む香港では、街中で広東語よりも北京語を耳にする頻度が増え、中国人富裕層向けのブランド店が乱立しています。香港人自身が「香港は香港でなくなった」と語る局面に入っています。

仕事でもプライベートでも中国大陸との向き合いが避けられない中で、経済格差は拡大し、若年層は結婚に踏み切れず、押し寄せる大陸化への不安を抱えています。金融都市として発展してきた香港は、今や政治・経済・文化の各面で大陸の引力圏に取り込まれつつあるのが現実です。

この社会背景を踏まえた上で、香港人の消費行動とソーシャルメディア利用の特徴を3つの論点から整理します。

① 香港人の日常はスマートフォンが中心——「ショッピング」「食事」「おしゃべり」

札幌市と同程度の面積に約700万人が暮らす香港では、休日の過ごし方はコーズウェイベイ(Causeway Bay)でのショッピング、友人との食事、そしておしゃべりが中心です。離島のランタオ島やマカオへの小旅行が、たまの遠出にあたります。

このライフスタイルにおいて、スマートフォンは手足の延長のような存在になっています。欲しい服やガジェットの店舗評価、飲茶のメニューや店の口コミ、恋愛や仕事の愚痴まで、平日も休日もスマートフォン上の会話で日常が回っています。

香港人の海外旅行はWeb検索と自身の予約による個人旅行が主流で、人気の渡航先は上から順に台湾・韓国・日本・タイです。訪日リピート率の高さは、香港市場の最大の特徴の一つとして知られています。

② チャットアプリ・SNSの主戦場——LINE・WeChat・Instagramの使い分け

香港のスマートフォン普及率は世界最高水準で、地下鉄やトラムでも「歩きスマホ注意」のアナウンスが流れます。端末別では、iPhone、Samsung Galaxy、SonyのXperiaやSony Ericsson系Androidの順に人気があり、Sonyブランドは交通広告でも頻繁に見かけます。

チャットアプリの利用は、おおむね次の順で広がっています。

・スタンプ文化が定着しているLINE
・中国系利用者層が広く使うWeChat
・Facebookからの流れで使うFacebook Messenger
・英語圏定番でFacebook傘下のWhatsApp
・韓流とともに浸透したカカオトーク

英語・広東語・北京語を使い分ける香港人は、相手や話題に応じてアプリも複数使い分けるのが一般的です。「LINE使ってる?」は香港でも日常的な合言葉で、LINEブランドの限定IC(オクトパスカード)は売り切れになるほどの人気を集めています。

SNSではFacebookが定番で、総人口の約56%が利用(2014年3月時点で世界12位)。その上で、近年急速に伸びているのがInstagramです。投稿時にFacebookへの同時投稿が可能な点が支持されており、おいしい料理・おしゃれな服・気に入った店の写真を撮影して友人と共有する文化が定着しています。インドネシアにおけるPathのような位置づけと言えます。

③ 飲食店から大手ブランドまで——香港マーケティングはSNS活用が前提

香港で飲茶を食べる際、店の壁に注目してみてください。FacebookやInstagramのアカウント情報が掲載されている店が多いはずです。小規模な飲食店から認知度のあるブランドまで、香港マーケティングにおいてSNSはもはや必須インフラです。

香港人は常にスマートフォンで会話をしています。その会話の中に自然に入っていくのが、ソーシャルメディアマーケティングの基本姿勢です。押し売り型のPRではなく、消費者の意識のどこかに常に存在し続け、好意を保ち、必要なタイミングで選ばれる——この何年・何十年単位で続けたい消費者コミュニケーションのインフラとして、SNSが機能しています。

訪日インバウンドの文脈でも、香港FIT層へのアプローチではFacebookでの発信が欠かせません。英語と繁体字によるFacebookページとInstagramの併用が、香港人との距離を縮める基本構成になります。

まとめ

中国大陸化が進む香港社会では、香港人自身のアイデンティティと消費行動が同時に揺らいでいます。その中で、スマートフォンとSNSは生活の中心インフラとして機能しており、消費・コミュニケーション・観光行動のすべてがその上で展開されています。

訪日インバウンドにおいても、香港のリピーター層に届くチャネルはFacebookとInstagramが中心です。短期的なキャンペーンよりも、長期にわたる消費者との関係構築を前提に、英語と繁体字での継続的な発信を組み立てることが、香港市場で結果を出す王道です。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国、台湾・香港の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)香港地域情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/hk/
・香港政府観光局(Hong Kong Tourism Board):https://www.discoverhongkong.com/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

公開日:2014年 5月17日

2014年4月24日木曜日

ビザ免除ニュースで、インドネシア人観光客が知りたいことまとめ

Selamat siang, インドネシア人観光客担当のベルダです。
インドネシア人訪日観光ビザが解禁になるかもしれないニュースはインドネシア人の間でもニュースです。

去年からインドネシア人の友達から、日本旅行について質問が頻繁にきています。
考えてみたら、VISA免除じゃなくても、すでに日本に行きたいインドネシア人がたくさんいると思います。
問い合わせした友達は、結局ツアー団体に参加しないで、個人旅行、家族グループ(少人数)で行くケースが多いです。
旅行会社のツアーで行かないのでいろいろわからないので、私に聞いてきています。


インドネシア人からの訪日旅行についての質問でいちばん多いのは:

①宿泊 
安いホテルで泊まりたい。
②観光地について、 
花がたくさんあるところはどこ、
青森の温泉はよいのか?
TDL・TDS以外、東京都内にどんな遊ぶところありますか
札幌は何がある?など

③時期・季節について
なぜか「日本といえば寒い」という印象が強いのかな?
季節について何もわからない。一年中寒いの?
雪は何月?

④距離
1週間で足りる、このルート?大阪・京都・奈良・富士山・東京・北海度、
大阪から札幌まで何時間?

たくさんのメディアが日本に関する情報を発信していると思いますが、やはりまだGAPがあるようで、日本という国はただのジャワ島のようなものだと思っているかもしれません。

インドネシア人の友達は、日本についてとても深く興味を持っていますが、現地で流れている情報はバラバラでまとまらないですね。

例えば日本は寒い!という思い込み。たぶん富士山のせいです。富士山に雪がかかっているので、日本というイメージは寒いとインドネシア人が思っているかもしれません。



また、華人もイスラム教徒のプリブミの友達からの質問、食べ物に関して質問はまったくありませんでした。

食べ物について、そんなに気にならないそうです。
一番気になるのは、ホテル代です。

一人おおよそ一泊3000-5000円前後、もう少しアッパーミドルは一人10000円を超えないくらいが希望です。


(インドネシア担当/ベルダ)


2014年4月23日水曜日

お花見に行こう! 日本とは一味違う、台湾のお花見の楽しみの仕方とは?

哈囉(ハロー)!台湾担当のチャニンです!

最近、日本の桜もう咲いていますよね。皆様は友達とお花見に行きましたか?
チャニンの友達の中でお花見を見に日本へ行った方もたくさんいますね。

でも、実は台湾でも花を見られて、賞桜名所もありますよ。今回は台湾の人気お花見名所について話しましょう!


まずは台北の人気観光地―「陽明山」です。

毎年の2月下旬からの「陽明山花季」は台湾で一番人気なお花見場所です。
桜、ツツジ、椿、桃の花、ボタンなどを咲きまして、とてもきれいです。

それに、三月から野芋も採られます。陽明山の野芋は台湾のなかでも有数の美味しさなので、チャンスがあれば、是非やってみてください。
また、お花見以外に、台湾山野菜料理レストランもあって、温泉でも入られます。


次には、淡水に置く賞桜名所―「天元宮」です。

実際のところ、天元宮は道教のお寺ですが、1970年百名人以上の道士とボランティアが日本からの吉野桜と台湾原生桜を植えました。
数百枚の桜と中国ぽっいなお寺が入り交じた景色は想像より綺麗だし、台北市から一時間半の中で到着されるので、人気がとても盛り上がったです。

土.日曜になると、淡水MRT駅から天元宮までの乘車時間はもともとの15分から一時間以上にもなってしまいちょっと困りますが…。
私が大学生だったころは、四年間には毎年天元宮へお花見を見に行きました。


最後には、台湾人気観光地日月潭の近くに置く遊園地―「九族文化村」です。

日本さくらの会がさくら名所を選びまして、台湾第一多い桜を持って、夜でも桜をできます。
三月からはラベンダーも咲いていました。
ロープウェイに乗ると、有名な観光地・日月潭(台湾最大の淡水湖で、深緑色の湖は時間によってヒスイ色や紺碧に見えるんです)も行けられますよ。

いかがだったでしょうか?台湾の花見は、桜だけでなく他の春の花も一緒に愛でるのです。温泉地も近くにありますし。
特に、日本では北海道などで夏に咲くラベンダーが、こちらでは3月に咲いて桜と一緒に見られるので、日本の方にはちょっと珍しいかも!?
同じ植物でも、他の国で見るとまた違った楽しみ方ができるでしょう。

(アジアクリック・台湾担当/チャニン)

インドネシア訪日ビザ免除案——現地インドネシア人の声から見える期待と不安

インドネシア現地でも、訪日観光ビザ解禁のニュースにインドネシア人達は喜びのコメントを行っている

インドネシア訪日ビザ免除案——現地インドネシア人の声から見える期待と不安

当記事の3行まとめ

1. 2014年6月、インドネシア・ベトナム・フィリピンの訪日観光ビザ免除が政府の行動計画に盛り込まれる方向となった
2. インドネシア現地では喜びの声が多数だが、実現性への不安や否定的な意見も混在している
3. 1.5億人規模のインドネシア中間層を本格的に取り込むには、ハラル対応と双方向の情報交流の整備が前提

前提:タイ・マレーシアに続く東南アジア訪日ビザ解禁の流れ

2014年、タイとマレーシアの訪日ビザ解禁に続き、インドネシア・ベトナム・フィリピンの訪日観光ビザを免除する方向で、6月の「観光立国実現に向けた行動計画」に盛り込まれることとなりました。

すでにビザを解禁したタイからは前年対比219%、マレーシアからは165.5%の訪日客の伸びが報告されており(JNTO発表)、中国・韓国に偏らない親日国からの訪日層を厚くする政策として、日本側・東南アジア側双方にとって意義のある動きだと言えます。

私はちょうどインドネシアに滞在していたため、周囲のインドネシア人にビザ免除のニュースをどう受け止めたか直接聞きました。

① 現地インドネシア人の生の声——喜びと不安が混在

20代男性(ジョグジャカルタ):「これが本当だったら、本当に嬉しいよ!」

20代女性(ジャカルタ):「Yeaaay、どうかビザ免除になりますように」

20代女性(西ジャワ):「私の周りは、ビザ免除はデマのニュースだと言っている」

30代女性(ジャカルタ):「私はちょっと否定的。問題もあるし、マルチビザではどうかと思う。だけど、たくさんのインドネシア人に日本を見てほしい」

40代女性(東京在住、スラバヤ出身):「すでに何人かのインドネシア人から『フリービザは本当? 秋のツアーをアレンジしてね』と連絡が来ています」

喜びの声が中心ながら、実現性への懐疑や、観光客急増に伴う問題への懸念も同時に存在しているのが現地の実感です。

② Twitter上の反応——日本語ツイートも多く、世界2位の日本語学習者数を反映

Twitter上のインドネシア人の反応も同様の傾向が見られました。インドネシアは、中国に次ぐ世界第2位の日本語学習者数を持つ国であり、日本語によるツイートも一定数見られます。

全体としては喜びの声が多数を占めるものの、「本当にビザ免除が実現するのか」という不安の声も少なくありません。日本側からの情報発信が、現地で正確に届いていないことが背景にあると考えられます。

③ 1.5億人規模のインドネシア中間層を取り込むには——ハラル対応と情報交流の整備

現状、インドネシア人観光客の約9割は、キリスト教や仏教を信仰するインドネシア華人が占めています。これは、ハラル(イスラム法上許される)食事や礼拝環境が日本側で十分に整っていないことが、ムスリムであるマレー系インドネシア人の訪日を実質的に制限していることを示しています。

2020年にはインドネシアの中間層は1.5億人規模に達すると見込まれており、ビザ免除が実現すれば、訪日候補先として日本を選んでもらえる土壌は急速に拡大します。ただし、その需要を現実の訪日客数に結びつけるためには、次の2点の整備が前提条件になります。

・ハラル対応の体系的整備(食事・礼拝・観光施設の動線設計)
・日本側からインドネシアへの双方向の情報交流(正確な情報発信と現地ニーズの吸い上げ)

ビザ免除は入口の整備に過ぎず、その先の受入体制が伴わなければ、訪日体験の満足度低下とリピート率の低下を招きかねません。インドネシア華人層への訴求から一歩踏み込み、ムスリム層を含むインドネシア中間層全体を視野に入れた商品設計と環境整備が、これからの課題です。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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お問い合わせ:info@asiaclick.jp

参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)インドネシア国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/idn/
・在インドネシア日本国大使館:https://www.id.emb-japan.go.jp/
・インドネシア共和国観光省:https://www.kemenparekraf.go.id/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

公開日:2014年 4月23日

2014年4月22日火曜日

【トゥクトゥクも活用】東南アジアのスマートフォン位置情報コミュニケーション——日常からビジネスまで「チェックイン」が前提になっている

当記事の3行まとめ

1. ASEANではスマホとチャットアプリが、家族・友人・仕事のコミュニケーション基盤になっている
2. GPS位置情報を使った周辺ユーザー検索やチェックイン文化が、生活にもビジネスにも組み込まれている
3. 日本側がアジア市場でPRをするなら、Push型ではなくPull型の位置情報戦略が有効

前提:ASEANはPCを飛び越えてスマートフォン中心で発展している

「アジアではスマホ」という認識が、もはや当たり前のものとして定着しつつあります。経済発展の著しいASEAN諸国では、消費者はPC普及の段階を飛び越えて、スマートフォン上で情報交換を完結させています。

バンコクでも、ホーチミンでも、ジャカルタでも、大都市の人々は日本人以上にスマートフォンから手を離しません。背景には、東南アジアの大家族主義と口コミ重視の文化があり、家族・友人とのつながりを保つツールとしてチャットアプリが日常に深く組み込まれています。

しかも、ASEANではチャットアプリの複数同時利用が標準です。Facebook Messenger、LINE、WhatsApp、WeChatあたりはどの国でも標準で、インドネシアではこれにBBMが加わり、ベトナムではWeChatの代わりにZaloが使われます。日本のように「LINE一本」という単一アプリ型の市場とは前提が異なります。

① 「周辺ユーザー検索」は標準機能——日本との文化的ギャップ

東南アジアのチャットアプリでは、自分の周囲数百メートル以内にいるユーザーを検索する機能が標準的に提供されています。日本ではプライバシー・安全性の観点からこの機能が制限されている一方で、ASEAN市場では「自分の居場所を知人・友人とのやりとりに楽しんで使う」文化が定着しています。

日本人にとっては抵抗感のある「居場所の共有」が、東南アジアでは関係性を深める手段として機能しているという違いを、まず前提として押さえる必要があります。

② 「チェックイン」自体がコミュニケーション——ミャンマー・ヤンゴンの事例

ネット接続速度が遅いミャンマー・ヤンゴンの20〜30代ホワイトカラー層では、写真投稿が技術的に難しいため、レストランやランドマークへの「チェックイン」が日常のコミュニケーションの中心になっています。

「今どこにいるか」を投稿することで近況を共有し、その場所自体への評価も広がっていきます。これは個人の生活共有にとどまらず、店舗の評価が口コミとして拡散するビジネス情報の生成プロセスでもあります。インフラ制約の中で発達した独自のコミュニケーション様式と言えます。

③ 周辺の見込み客への営業ツールに——カンボジアの事例

位置情報をビジネスに応用している事例も、ASEANでは草の根レベルで観察できます。

私自身がカンボジアでホテル滞在中に、トゥクトゥク(3輪バイク)のドライバーから営業メッセージを受け取ったことがあります。彼は私が半径100メートル以内にいることをチャットアプリで把握した上で、アンコールワット周辺の観光地の写真を送り、音声メッセージで魅力を伝えながら営業をかけてきました。

1日の売上が1000円程度の零細個人事業主にとってさえ、スマートフォンとGPS位置情報付きチャットアプリは仕事獲得の武器になっています。バンコクのスクンビットでも、近くにいる人から接触メッセージが届く事例があります(性産業従事者からの営業を含む)。位置情報マーケティングは、ASEANではすでに生活レベルで実装されているのです。

④ ビジネスへの応用——Pull型で「今」役立つ情報を届ける

これだけ普及している位置情報機能を、企業や観光地が活用するための4つのポイントを整理します。

・FacebookページやGoogleマップ上で位置情報をオンにし、消費者がチェックインできる状態を整備する
・国とターゲット層に応じてチャットアプリを使い分ける(インドネシアならBBM、ベトナムならZaloなど)
・Push型のPRではなく、周囲の消費者側からアプローチを引き出すPull型設計に切り替える
・「今立ち寄りたくなる情報」「今すぐ使えるクーポン」など、即時性の高いコンテンツを用意する

自分のFacebookページのチェックイン数と評価の星数を確認するところから始めるのが現実的な第一歩です。

まとめ

ASEAN市場における位置情報コミュニケーションは、日常会話から個人事業者の営業活動まで、すでに生活インフラとして根づいています。日本国内の店舗や観光地のPRにも応用できる発想であり、東南アジア向けPR戦略を組む際には、チャットアプリの位置情報を前提とした設計に切り替えることが、現地の消費者行動と噛み合う近道になります。

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この記事の著者

高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

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2014年4月21日月曜日

ASEAN市民とソーシャルメディア——5つのショートストーリーで読み解くASEAN市場

当記事の3行まとめ
1. ASEAN市場は口コミ文化が深く根づいており、ソーシャルメディアが日常と社会のインフラになっている
2. 災害対応・LCCのキャンペーン・政治運動・市民ジャーナリズム・スポーツ応援まで、SNSは多面的に機能している
3. ASEAN市場参入の出発点は、ソーシャルメディアを通じて現地の人々と「会話」を始めることにある

前提:ASEANの口コミ文化と、スマートフォン時代の市民コミュニケーション
東南アジアは、伝統的に口コミ文化の地域です。冬のない温暖な気候の中、大家族で過ごしてきた歴史があり、欧米列強による植民地時代を生き抜くうえでも、頼れたのは大家族と友人を中心とした口頭ベースのコミュニケーションでした。
そして現在、ASEAN経済統合を目前に急速な経済成長を遂げる中、ASEAN市民の手にあるのはスマートフォンです。彼らと、そして彼らが形成する市場と対話するには、ソーシャルメディアの理解が欠かせません。
本記事では、ASEAN市場におけるSNSの位置づけを、5つのショートストーリーから読み解きます。

① 台風被害の中、SNSで助けあい・救助活動——フィリピン
2014年、フィリピンを台風ハイエン(Haiyan)が襲い、数千人の命が失われ、数百万人の生活に影響を与えました。インフラと地域社会が分断される中、Facebookを中心としたソーシャルメディアが、助けあいの基盤として機能しました。
具体的には、SNSに搭載されたGPS機能を活用し、Facebookグループ上で各自の所在を共有しあい、救助の手配や物資の融通が行われました。災害時のSNSは、もはや「情報共有」の枠を超え、人命に関わるインフラとして機能する段階に入っています。

② LCCの1日限定セールがクレーム対策にも——シンガポール、マレーシア他
ASEAN市場でも、消費者の関心を強く引くのはセールキャンペーンです。AirAsia、Jetstar、Tiger AirといったASEANベースのLCCは、1日限定セールを定期的に実施し、Twitterのハッシュタグキャンペーンで顧客との距離を縮めています。
格安チケット獲得の喜びがSNS上で拡散される一方、遅延や運航トラブルによる炎上も発生しやすい構造があります。安価なチケットへの期待と、運航品質への不満が、SNS上で同時に展開される市場特性を持っているのです。LCCのSNS活用は、攻め(販促)と守り(炎上対応)の両輪で成立しています。

③ スポーツの祭典を通じた民主化PR——ミャンマー
ミャンマーでは、2014年に開催されたASEANスポーツの祭典「SEA Games」に合わせて、軍事政権と長年対峙してきたアウンサンスーチー氏への支持と、「ビルマ」というブランドの再提示を、SNSを通じて発信する動きがありました。
ジャーナリストや旅行者を主な届け先として、ビルマの現状を国際的に伝える市民レベルの情報発信が、SNS上で展開されたのです。スポーツイベントを単なる競技の場としてではなく、政治的メッセージの発信機会として活用する事例として注目されました。

④ 「ニュースのニュース」——マレーシア、インドネシア他での市民ジャーナリズム
ASEANには、政府によって報道内容が操作されやすい国が複数存在します。マレーシアやインドネシアでは、政府発表のニュースに対する「ニュースのニュース」、すなわち報道の真偽を市民同士が検証・補足する機能として、SNSが活発に使われています。
市民レベルの情報共有に加え、Malaysian InsiderやThe Jakarta Globeのような民間メディアもSNSを積極的に活用しており、政府発表の一次情報と並行して、独立系メディアによる検証情報が同時に流通する構造が出来上がっています。
象徴的な事例として、マレーシア政府の不正選挙疑惑に対し、Facebookのプロフィール写真を黒一色にして抗議の意思を示す市民運動が広がりました。SNSは、政治的意思表示のチャネルとしても機能しているのです。

⑤ サッカーで互いの国を応援しあうASEAN市民
ASEANフットボールチャンピオンシップ(旧タイガーカップ)では、FacebookをはじめとするSNSを通じて、ASEAN各国の市民が互いの国を応援しあう光景が見られました。2015年のASEAN統合を控え、SNS上での国境を越えた交流が、新しい時代の絆の始まりを感じさせる事例となりました。
スポーツとSNSの組み合わせが、ASEANという地域意識を市民レベルで形成する装置として機能していることが見て取れます。

まとめ
ASEAN市民にとって、ソーシャルメディアは日常と社会の双方に深く組み込まれたインフラです。災害時の助けあい、LCC利用、政治的意思表示、市民ジャーナリズム、スポーツ応援——どの場面でもSNSが中核に位置しています。
東南アジア市場へのアプローチも、まずはソーシャルメディアを通じて現地の人々と「会話」を始めることから入るのが、最も自然で持続可能な入り口です。一方向の情報発信ではなく、双方向のコミュニケーションを前提とした設計が、ASEAN市場で長期的に支持される基盤になります。

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この記事の著者
高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

関連リンク
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お問い合わせ:info@asiaclick.jp

参考資料・関連情報
・日本貿易振興機構(JETRO)国・地域別情報:https://www.jetro.go.jp/world/
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・ASEAN事務局(ASEAN Secretariat):https://asean.org/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

アジアで効果的な誘客手段とは? インドネシアの博物館イベントに見るSNS利用実例

約半数の人がSNSで観光先を決定するアジア

以前の記事でもお伝えしましたが、アジア地域※では、ソーシャルメディアが観光客の意思決定に強い影響を与えています。
※中国、香港、インド、マレーシア、シンガポール、オーストラリアを指す

米国eMarketer社の調査によると、旅行先を決める際、実に44%の人がソーシャルメディアを利用。さらに、アジア地域の57%の旅行者がインターネット上の口コミを参考にし、うち42%がフェイスブックの観光地の評判をチェックしているとのことです。

この数字を見れば、アジア地域でいかにソーシャルメディアのプロモーションが有効であることが分かりますね。
では、現地でも実際にソーシャルメディアが主な誘客手段となっているのでしょうか?  
今回はアジアの中でも特にソーシャルメディアの利用率が高い、インドネシアの誘客実例を見てみましょう。



博物館イベント、全体の3割以上がツイッター経由で認知・来館



インドネシアの博物館教育者のグループが、興味深い調査を行いました。
ジャカルタの異なる博物館で行われた6つのイベントで、来場していた25〜45歳が親の137家族にイベントの認知経路を聞いたところ、口コミが24.8%、ツイッター経由が35%、その他メディアが26.3%と回答したのです。

縦軸は上から口コミ、ツイッター、他のネット媒体、回答なし。横軸はイベント名

博物館では、集客を図るためさまざまなイベントを実施していますが、その告知はほぼすべて、ツイッターやFacebookで行っています。上記ソーシャルメディアを通じて集客をすることで、コストはほぼかかりません。

ソーシャルメディア経由の情報が、日本人の感覚以上に、誘客の実数に結びついているんですね。インドネシアのプロモーションでは、ツイッター利用が必須であり、アジアでの効果的な誘客は、やはりソーシャルメディアを積極的に使う必要があるでしょう。


次の記事のおすすめ
ASEAN消費者の今が分かる!5つのSNSショートストーリー


2014年4月15日火曜日

台湾で日本のあるお菓子が空前のブーム!その販売戦略とは?

 你好!台湾担当のチャニンです。

「日本へ行った友達がブラックサンダーをくれたよ!」
「いいな、どこでも売り切れだよね」

最近、このような会話が台湾の会社や学校でよく聞かれます。


それだけではなく、『ブラックサンダーを買える店』や『自分でもブラックサンダーを作れる!』というテーマのコマーシャルも毎日放送されています。

更に、『ブラックサンダー詐欺』というものも発生してしまいました。
ある女性はFacebookでブラックさんダーを大量購買すると割引があるというので、一気に四万元のブラックさんダーを注文し、お金を振り込んだそうです。
しかし、待てども待てどもブラックサンダーが届かず、結局担当者も見つからないそうです。
このような案件は、なんと三週間の間に、四件も発生してしまいました。


個人的には、このブームがはじめはちょっと信じられませんでした。

なぜかというと、ブラックサンダーは最近発売されたのではなく、2011年から既に発売されていたからです。
しかも発売当時は知名度も人気も高くありませんでした。
私は日本の友人が来訪した時に、友人が勧めてくれたので、ブラックサンダーを知ったくらいです。



そんなわけで、2011年から2013年まで知っている人があまりいなかったブラックサンダーですが、新しい販売戦略のおかげで、今年に入り大人気になりました。

代理店は有名なブロガーや新聞業と連携して、ブログや新聞で紹介しました。
また、販売店は一番重要なポイントである「ブラックサンダーは超人気!」というイメージを作りたいので、毎日少量で販売しています。
そうすると、人気のイメージが強くなり、新聞でもっと紹介されるのではないでしょうか。

ブラックサンダーの味はこうした宣伝の前からとても美味しかったですが、人気を得るためには味だけでなく、その国に合った販売戦略が重要なポイントなのだと改めて感じました。

(アジアクリック・台湾担当/チャニン)

2014年4月14日月曜日

熱帯気候マレーシアの「春」の様子とは?

Selamat Pagi! マレーシアのシャフィックです。

あっという間、4月に入りました。
4月と言えば、日本で春の季節であり、桜の花が開花とともに学校がスタートします。
桜の花はたった2週間で満開しその後花びらがちらちらと散ります。

さて、マレーシアでは、4月の様子はどんな感じでしょう?

 (1年中に咲いているマレーシアの国花、ハイビスカスの花の一種)

マレーシアでは四季がないため、「春」と言う言葉はありません。
ここでは花の開花は「春」という三ヶ月の暖かい季節の時にだけ限らず、1月から12月にかけて1年中ずっと続いています。
もちろん花の種類により異なります。つまり、「一年中、春」とも言えるかもしれません。

(マレーシアの桜:テコマの花。今年の四月にたくさん咲いています)

日本で4月に花の開花と一緒に皆がいつも困っているのは花粉症です。
春の風に飛ばされている花粉は目や鼻に接触しくしゃみ、鼻水などの発生する原因になります。

面白いことに、マレーシアで花粉症がありません。
私もその言葉を始めて聞いたのが日本で留学した頃でした。
マレーシアの蒸し暑い天気が原因で、花粉症は効かなくなると聞きました。


(マラッカ川にある綺麗なブーゲンビリア 、女性たちに人気です)

マレーシアで桜の季節がない代わりに、毎日たくさんの花が見えることは良いポイントでしょう。しかしながら、四季がないことで「春」を楽しむ気分もなく、我々の目で見ると「花」の美しさは少し異なるでしょう。

(アジアクリック・マレーシア担当/シャフィク)


ASEAN各国で人気のスマホとその理由 2014 〜2強+現地事情

SNS大国と言われている、東南アジア。
実際、大家族主義で口コミ文化な東南アジアでは日本以上にソーシャルメディアが使われています。


東南アジア市民がSNSを使っているのは、PCでなくモバイル。スマートフォンです。
日本以上にスマホが伸びているのが、経済発展著しいASEANなのです。

■東南アジアでもiPhone、サムスン強し!しかし第3勢力にマーケット格差を学ぼう!
では、東南アジアでは、どんなスマートフォンが使われているのでしょうか?



東南アジアでも、iPhoneとサムスンの圧倒的勝利です。
しかし、第3勢力に各国マーケットと消費者の行動特性が見て取れます。

「スマホでSNS」は変わりませんが、各国の特徴として
・タイ、マレーシア〜文字より画像、写真撮影してSNSに投稿したい。
・インドネシア〜チャットでおしゃべりしたいが、今までなかった大画面に憧れ!
・ベトナム〜月1,000円でネット使い放題、共感するコンテンツが欲しい
・ミャンマー〜iPhone格好良いが、ビルマ語未対応。サムスンやネット接続速いHuaweiに軍配
・カンボジア〜起きたらFacebook。友達といてもFacebook。のためのiPhoneか変えない人のための安いサムスン。iOSはクメール語に対応。

など。 共通しているのは、どこの女の子は自画撮り大大・大好きですね!

といった特徴があります。これらは、WEBでのPRでも、アプリ開発でも基本として抑えておきたいポイントです。
また、携帯代の支払いは基本的に後払い。SNSまでは使い放題に入っていますが、パケット代はコンビニなどで先払いしてプールしておかねばなりません。


■モバイルコマースにも注目、若く発展著しいASEAN10市場では日本の常識では計れない!

Googleの2013年度データより

PC購入を飛ばして、高性能スマートフォンを手にしている東南アジア市民。
買い物も大好きな彼らは、スマートフォンでのファッションや電気機器の購入にも既に日本と同等の感覚を持っています。
ここで大切なのは、平均年齢41歳の日本に対し、一部を除き平均年齢20代が東南アジアの主役だということです。当然、スマートフォンやSNSといったツールを当然のように使いこなし、そこからの情報で判断行動する消費者たちなのです。

渋滞のインドネシアジャカルタではスマホでファーストフードの出前を取り寄せ、シンガポールでは高級レストランの食事券を共同購入し、マレーシアや台湾ではスマホで学生運動を行っています。

今まで、そして外国である日本の常識では測れないASEAN経済共同体、現地に行って彼らと直接触れてみませんか。
(アジアクリック/高橋学)


■シンガポールに、貴社の営業代理拠点をつくりませんか?
当社が、ASEAN10カ国の観光客とのコンタクトポイント(接着剤)になります。
お問合せはお気軽に。電話 0120−74−1990 メール info@asiaclick.jp



2014年4月12日土曜日

シンガポール・チャンギ空港が4つのSNSキャンペーンを同時スタート!事例に学ぶASEAN市場の攻め方

世界一の空港と2年連続で評価を受けた、 シンガポールのチャンギ空港。
4月はSocial media monthとして、感謝を込めたソーシャルメディア拡散キャンペーンをFacebook、ツイッター、Instagramそれぞれで行っていますので情報共有します。

 Changi空港に花の大オブジェクトも!ASEANはソーシャルメディア大国です。


■Facebook「カバー写真変更」キャンペーン


4種類のチャンギ空港のカバー写真をチャンギ空港Facebookページが用意。それらに自分のFacebookカバーを変えることで、毎週ランカウイ島やモルディブ往復航空券など、7種類ものプレゼントが当たるキャンペーンです。
自分のFacebookカバーを企業のものに変えてしまうの人が多いのが東南アジア流。ASEAN市場では、最近メジャーになってきたキャンペーン手法です。


■ツイッター「RT」キャンペーン


こちらは2種類のTwitterキャンペーン。
1)特定の記事をリツイート(再投稿)でビエンチャンやイポー、スバンなどの往復チケットが各1名に当たる拡散キャンペーン。
2)チャンギ空港初のチケットを写真とってハッシュタグ#をつけてツイートする拡散キャンペーン。

ASEAN内では、主にマレーシア・シンガポール・インドネシアでツイッターがPRに有効ですね。


■Instagram「空港写真投稿」キャンペーン


最後のキャンペーンは、チャンギ空港に関係する写真を、ASEANでも人気の写真共有SNS「インスタグラム」に特定のハッシュタグ#をつけて投稿するもの。選ばれた30枚の写真はチャンギ空港内の特製ディスプレイに展示され、更にうち5名にはチャンギ空港特製ギフトがプレゼントされるとのこと。上の写真のように、既に多数が参加しているようです。


これら、シンガポールやASEANで繰り返し行われているSNSキャンペーンは、効果があることも実証済。私達日本勢も研究して、ブランド強化・訪日推進に活用していきましょう!
(アジアクリック/高橋学)


具体的な、ASEANでのソーシャルメディア実例はこちらから↓
3)マレーシアKFCのアルバイトが投稿したSNS炎上事例
4)ASEAN消費者の今がわかる!5つのSNSショートストーリー

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