2014年2月28日金曜日

シンガポール国民とSNS事情2014——シンガポーリアンには「ブランド価値」をPRしよう

当記事の3行まとめ
1. シンガポール国民の実態は「お金持ち」のイメージとは異なり、高い物価と住宅費に苦しむ可処分所得の低い中間層が中心
2. 楽しみは外食と買い物で、特に日本食はヘルシーさを評価され市民権を得ている
3. 情報ハブのシンガポールでは、価格よりも「提供する価値」がシビアに見極められるため、SNSによるブランド価値発信が必須

前提:人口の約半数が外国人——情報ハブとしてのシンガポール
シンガポールは人口の約半数が外国人で構成される、アジアの情報ハブです。アジア系、欧米系、インド系などあらゆる民族が共通語の英語で情報をシェアし合う環境が、この国の市場の前提になっています。

① 「キアス(Kiasu)」の裏側にあるシンガポール国民の苦悩
シンガポールというと、お金持ちのイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし実態は異なります。可処分所得は日本と同水準で、高い物価に苦しんでいるのが多くのシンガポーリアンの現実です。
住宅は政府主導のHDB(公共住宅)であっても、リースホールドの上限が99年と決まっており、東京以上の不動産価格水準にあります。世帯年収が日本円で1000万円を超えないと、家を所有した「中間層としての生活」が成立しないというのが現地の感覚です。
損をしたくない、得をしたいというシンガポール特有の消費気質「Kiasu(キアス)」の背景には、この経済的なプレッシャーがあります。Kiasuは単なる国民性ではなく、構造的な経済環境の反映として理解する必要があります。

② シンガポール国民の楽しみは「外食」と「買い物」
シンガポールには、月収10〜30万円規模のホワイトカラー層が厚く存在します。彼らの多くは結婚前は実家暮らしで、普段の食事はホーカーズ(屋台村)で1食300円ほどのヌードルや焼き飯を食べています。
一方で、週の半分程度は予算5,000〜10,000円の外国料理を楽しむのが日常の喜びです。日本食、韓国料理、欧米料理が人気で、特に日本食は「ヘルシー」という評価とともに市民権を得ています。寿司、天ぷら、カレー、焼き鳥、おにぎりまでがシンガポールの食シーンに定着しています。
買い物では、服飾と電化製品が中心です。年数回のセール時に集中して買うパターンと、スマートフォンを軸とした数万円のガジェットを計画的に、ときに衝動的に購入するパターンが共存しています。

③ シンガポールのSNS・スマホ事情
情報ハブとしての特性を反映して、シンガポールのホワイトカラー層はほぼ全員がスマートフォンを所有しています。タブレットとの併用も珍しくありません。端末別の人気はiPhone(4・4S・5・iPad)と韓国サムスンのGalaxyシリーズです。
スマホ利用の中心は、SNS、調べ物、ゲームの3つです。
・ゲーム:Candy Crush Sagaのような落ち物パズル、パズル型RPG
・調べ物:ECサイトでの服飾セールのチェック、シンガポール版食べログでの次の外食先のリサーチ
・SNS:WhatsApp、WeChat、LINE、Facebookで友人の動向とニュースを確認
複数チャネルの並行利用が標準で、用途に応じてアプリを使い分けるのが日常の風景です。

④ シンガポール人には「ブランド価値」をPRしよう
ここまで見てきたように、シンガポールは経済格差が大きい社会です。現実的なターゲット層は年収300〜800万円の中間層になります。
シンガポールにはすでにあらゆる商品・サービスが存在しているため、新規参入者が「ブランドが有名」というだけで選ばれることはありません。問われるのは「どのような価値を提供できるか」の一点です。
象徴的な事例として、シンガポールで人気のサラダ専門店「SaladStop!」があります。7種の野菜ボウル1杯で約800円という価格設定にもかかわらず、昼時には長蛇の列ができます。健康志向の女性ビジネスパーソンに支持されているからです。塚田農場の「美人鍋」や寿司が支持される理由も、ヘルシーさという明確な価値軸にあります。
価値に見合った金額かどうか、シンガポールの消費者の判断は極めてシビアです。だからこそ、SNSを通じた継続的な価値発信が重要になります。消費者の声、取引先パートナーの声、アジア全体の声がSNSを通じて流入してくるのが、情報ハブ・シンガポールという市場の特性です。SNSの活用は「あれば良い」ではなく「装備すべき必須インフラ」と捉えるべきです。

まとめ
シンガポール市場で結果を出すには、3つの視点が欠かせません。
・お金持ちイメージで語らず、可処分所得が圧迫されている中間層の実像から考える
・価格ではなく「提供する価値」で勝負する設計にする
・SNSを情報ハブの中で機能させる必須インフラとして組み込む
Kiasuという気質を表面的に捉えるのではなく、その背景にある経済構造と価値判断のシビアさを理解することが、シンガポール市場で長期的に支持される第一歩です。

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この記事の著者
高橋 学(たかはし まなぶ)
アジアクリック代表。タイ・バンコク在住。中国を含むアジアでの実務歴20年以上。日本語・英語・中国語・タイ語の4言語ビジネスレベル。東南アジア6カ国+インド+中国の現地ビジネス、訪日インバウンド、SNSマーケティングを専門とし、日本の自治体・観光団体・企業に対し、どの国に・どの順序で・どのように伝えるかの判断材料を提供している。

関連リンク
公式サイト:https://asiaclick.jp
note:https://note.com/aseanmana
お問い合わせ:info@asiaclick.jp

参考資料・関連情報
・日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計:https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
・日本貿易振興機構(JETRO)シンガポール国情報:https://www.jetro.go.jp/world/asia/sg/
・シンガポール政府観光局(Singapore Tourism Board):https://www.stb.gov.sg/
・シンガポール政府統計局(Department of Statistics Singapore):https://www.singstat.gov.sg/
・パシフィック・アジア観光協会(PATA):https://www.pata.org/

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